疼痛治療における貼付剤の過去・現在・未来

  • ページ数 : 118頁
  • 書籍発行日 : 2023年2月
  • 電子版発売日 : 2023年8月29日
¥3,410(税込)
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商品情報

内容

痛み治療の可能性を再考するための参考書
貼付剤の歴史や基礎、がん疼痛と慢性疼痛における臨床について、痛みの専門医がわかりやすく解説した、貼付剤による疼痛治療の可能性を再考するための参考書。

序文


整形外科医であったフランス王室公式外科医のAmbroise Paréは、16世紀に医師の心得として「to cure sometimes(時々治療する)、to relieve often(しばしば和らげる)、to comfort always(いつも癒す)」という言葉を残している。彼の言葉から痛みの治療について考えてみると、「侵襲的な治療は時々、薬物療法はしばしば、患者の痛みの訴えへの傾聴はいつも」と捉えることができる。要するに痛み治療における薬物療法の重要性が理解できる。

痛み治療での薬物療法において、重要な選択肢が貼付剤である。日本薬学会では貼付剤を「布やプラスチックフィルムに有効成分と基剤の混合物を薄く延ばし、皮膚表面の患部または皮膚を通して局所患部へ有効成分を到達させる、皮膚に粘着させて用いる製剤」と解説している。貼付剤の歴史は古く、皮膚を介して薬が体内に吸収される経皮吸収システムの概念が確立され、痛み治療では内服以外の薬の投与経路としての重要性が増している。

近年の経皮薬物送達システム(貼って皮膚から薬を送りこむ投薬方法、transdermaldrug delivery system:TDDS)の開発は目まぐるしく、貼付剤には「経皮吸収型局所作用製剤(従来より湿布とよばれている製剤)」のみならず、「経皮吸収型全身作用製剤(パッチ、テープなどとよばれている製剤)」が広く臨床使用されるようになった。

経皮吸収型局所作用製剤は、皮膚から組織中に薬物が移行することで貼った部位周辺に効果を発揮することから、患部への直接効果が期待できる、使用が簡便、全身性の副作用が起こりにくいなどのことが期待され、痛みの治療の第一歩といっても過言でない。経皮吸収型全身作用製剤は、薬物が皮膚組織の毛細血管に移行し、全身血流を循環することで、経口摂取せずに効果を発揮、製剤の投与や中断が簡便に行える、投与の有無を確認しやすい、比較的作用時間が長いなどの利点があり、その存在感は増している。

『疼痛治療における貼付剤の過去・現在・未来』と題した本書では、疼痛治療における貼付剤の歴史と基礎、がん疼痛と慢性疼痛における臨床について、痛みの専門医が長年の経験をもとにわかりやすく解説した。是非、本書を痛みという身近な訴えにかかわるすべての医療者に、貼付剤という身近な存在による痛み治療の可能性を再考するための参考書としていただきたい。


獨協医科大学医学部麻酔科学講座 主任教授
山口 重樹

目次

第1章 疼痛治療における貼付剤の歴史

はじめに

古代~中世の貼付剤の歴史

1)古代メソポタミア

2)古代バビロニア

3)古代ギリシャ~アレキサンドリア

日本の貼付剤の黎明期

1)奈良時代

2)平安時代

3)戦国時代

4)江戸時代

5)江戸時代中期~明治時代

6)papから巴布へ

break time①

break time②

日本の貼付剤の過渡期(サリチル酸製剤含有、日本製泥状パップ剤の誕生)

成形パップ剤(第一世代、外用刺激型)の誕生

1)成形パップ剤の開発

2)冷感タイプと温感タイプの開発

3)冷感タイプと温感タイプの成分

4)一般用医薬品から医療用医薬品へ

成形パップ剤(第二世代、NSAIDs)の誕生

1)第二世代(経皮吸収型局所作用製剤)の開発

2)第二世代(経皮吸収型局所作用製剤)の主な貼付剤の種類

3)経皮吸収型消炎鎮痛薬の有効成分による分類

プラスター剤

1)プラスター剤(テープ剤)の特徴

2)経皮吸収型消炎鎮痛薬の剤形による分類

全身作用型(経皮吸収型製剤)の登場

1)経皮吸収型強オピオイド製剤

2)経皮吸収型弱オピオイド製剤

3)経皮吸収型NSAIDs製剤

第2章 疼痛治療における貼付剤の基礎

貼付剤の分類

1)局所に作用する貼付剤

2)全身に作用する貼付剤(経皮吸収型製剤)

経皮吸収のメカニズム

1)皮膚の構造

2)薬物の皮膚透過

3)経皮吸収速度と吸収量

4)貼付部位と皮膚への影響

疼痛治療に用いられる貼付剤

1)フェンタニル

2)ブプレノルフィン

3)ジクロフェナクナトリウム

第3章 がん疼痛と貼付剤

がん疼痛とフェンタニル製剤

1)フェンタニルクエン酸塩の特徴

2)がん疼痛治療におけるフェンタニル製剤の位置付け

3)フェンタニル製剤のエビデンスレベル

デュロテップ®MTパッチ

Case study

 1.内服困難症例

フェントス®テープ

Case study

 1.内服困難、オピオイドナイーブの症例

 2.患者背景にあわせた症例(在宅療養に向けて)

ジクトル®テープ

ジクトル®テープとフェントス®テープの併用の可能性

Case study

 1.耳下腺がんに対し化学療法、放射線治療中の症例

 2.前立腺がんで入院加療中の症例

 3.肺がん術後、転移性脳腫瘍再発の症例

 4.多発性骨髄腫で入院加療中の症例

 5.中咽頭がんで化学療法中の症例

 6.膀胱がん、多発骨転移で入院加療中の症例

おわりに

第4章 慢性疼痛と貼付剤

慢性疼痛に使用可能な貼付剤の種類

1)経皮吸収型消炎鎮痛薬

2)経皮吸収型強オピオイド製剤

3)経皮吸収型弱オピオイド製剤

慢性疼痛に対する貼付剤の使い分け

1)経皮吸収型消炎鎮痛薬

2)フェンタニル(フェンタニルクエン酸塩)経皮吸収型製剤

3)ブプレノルフィン経皮吸収型製剤(ノルスパン®テープなど)

4)ジクロフェナクナトリウム経皮吸収型製剤(ジクトル®テープ)

Case study

 1.軽度腰椎側弯の症例

 2.股関節手術後の症例

薬物療法の限界

おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784779227059
  • ページ数:118頁
  • 書籍発行日:2023年2月
  • 電子版発売日:2023年8月29日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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