形式的疑義照会を減らす! 外来処方箋の書きかた、考えかた

  • ページ数 : 200頁
  • 書籍発行日 : 2024年2月
  • 電子版発売日 : 2024年2月2日
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商品情報

内容

その処方箋,本当に大丈夫ですか?

処方意図不明,指示不足,記載漏れ……処方内容に関して疑義が生じれば薬剤師は処方医に照会を行う義務が生じ,それら事務的な疑義照会は多くの場合医師・薬剤師双方にとって非効率な営為となります.本書はそうした形式的疑義照会によってもたらされる非効率の解消を目指し,疑義照会を減らすための処方箋の書きかた,簡素化が可能な疑義照会の方法についてまとめました.医師・薬剤師双方の業務効率化の一助となる内容です.

序文

序文


疑義照会は,処方権を有していない日本の薬剤師に特有の業務ともいえ,英語では疑義照会に相当する専門用語が存在しません.“inquiry about prescription”や“query regarding prescription”すなわち「処方箋に対する問い合わせ」と表現されることがあっても,日本語で名指される疑義照会と,全く同一の概念が英語圏には存在しないのです.

このことはまた,日本の医療現場では医師の処方権と薬剤師の調剤権が明確に区別されており,疑義照会というプロセスを挟まなければ,両者を接合することが困難であることを物語っています.法制度上においても,処方内容に関して疑義が生じた場合,薬剤師は原則的に全ての事項について,処方医に照会を行うことになります.一方,処方医にとってみれば「くだらない……」,あるいは「時間の無駄……」と感じるような問い合わせも多いことでしょう.

明らかに非効率と思われる事務的な疑義照会が存在することは確かです.しかし,どんな疑義なら有益な照会となり,どんな疑義なら煩わしい照会となるのかについては,種類の差というよりは程度の差という側面が強いように思います.そこに明確な境界線があるわけではありません.

本書では,疑義照会によってもたらされる臨床業務の非効率性の解消を目的に,簡素化が可能な疑義照会と具体的な方法論を,仮想処方箋に基づいて体系的に整理しました.薬を処方する医師のみならず,処方箋を調剤する薬剤師にとっても疑義照会をめぐる臨床判断の一助となることでしょう.

むろん,薬剤師による疑義照会が医療安全の向上に寄与していることもまた事実です.そのため,疑義照会の簡素化は一律に推奨されるものではなく,患者の状況や文脈,医師と薬剤師の関係性によって,個別に熟慮されるものでなくてはなりません.疑義照会の有益性とは,おおよそこのような熟慮の果てに見い出されるものだと思います.本書が有益な疑義照会と煩わしい疑義照会を選り分ける補助線としての役割を担えたら幸いです.


2023年12月

年の瀬の月冴ゆる松本市にて
青島周一

目次

1章 総論

薬剤師による疑義照会の必要性と,その是非をめぐる問題点 [青島周一] 

2章 事例

処方意図

1 制吐剤として処方されたオランザピンの適正使用 [小笠原まりあ] 

調整可等の指示

2 調整使用可の指示が記載されていない処方箋 [根本真吾]

疑義のある投与量

3 残薬発生時の対応 [佐藤美弥子 高橋 渉]

4 統合失調症患者に対するラメルテオンの処方 [児島悠史]

5 透析患者に対する処方 [神田佳典]

6 腎機能低下時のバラシクロビルの投与量 [佐藤美弥子 高橋 渉]

7 適応症によって用法用量が異なる場合 [高野浩史]

副作用リスク

8 屋外での運動部に所属する高校生に対するNSAIDs外用剤の処方[児島悠史]

9 受験生に対する抗ヒスタミン薬の処方 [児島悠史]

10 抗ヒスタミン薬による眠気発現リスク [佐藤美弥子 高橋 渉]

相互作用

11 パゾパニブとプロトンポンプ阻害薬の併用 [小笠原まりあ]

服用日の指定

12 服用開始時点が明記されていない場合 [神田佳典]

13 抗菌薬点滴注射の共有がされておらずあわや同日に

内服薬との重複が実施された例 [鈴木邦彦]

14 漸増(漸減)の指示が記載されていない場合 [畠 玲子]

15 増量指示が不明確で,用法用量が判別できない場合 [鈴木邦彦]

処方の切り替え・経過

16 降圧薬が配合剤へ変更された場合 [神田佳典]

17 前回の処方から薬剤が削除された場合 [田丸蓉子]

禁忌疾患

18 転院に伴う処方変更の確認 [山本雅洋]

19 臨時増量・減量後の変更前処方に戻った場合 [山本雅洋]

20 緑内障患者に対する抗コリン薬の処方 [菅原鉄矢]

21 残薬調整後の処方再開漏れ [山本雅洋]

22 前立腺肥大症の患者に対する吸入抗コリン薬の処方 [新原博輝]

内服薬用法

23 気管支喘息に対する非選択性β遮断薬の処方 [町田和敏]

24 リファンピシンの朝食後投与 [菅原鉄矢]

25 アムロジピンの1日2回投与 [菅原鉄矢]

26 食直前,食直後,就寝直前 [高野浩史]

27 漢方薬の食後処方 [新原博輝]

28 ドンペリドンの食後処方 [町田和敏]

29 セマグルチドの食後処方 [新原博輝]

30 ビスホスホネート製剤の月1回処方と4週間に1回の処方の違い [畠 玲子]

処方期間

31 隔日,週1回,月1回の処方日数 [田丸蓉子]

投与期間

32 3歳児に対するツロブテロールテープ0.5mgの処方 [菅原鉄矢]

33 投与日数制限のある薬剤 [畠 玲子]

重複投与

34 他院処方の抗うつ薬と,神経障害性疼痛へのデュロキセチンの処方[田丸蓉子]

35 同効薬の重複意図がわからない処方 [鈴木邦彦]

用法用量

36 頓服用法の詳細不明 [佐藤美弥子 高橋 渉]

37 維持療法に加え頓用を想定している吸入薬の用法用量 [町田和敏]

38 用法用量が承認用法と異なる場合 [小笠原まりあ]

外用薬の用法

39 湿布の日数,部位,使用量の記載が不十分 [高野浩史]

外用薬の処方量

40 外用薬の処方単位の記載が不十分 [根本真吾]

注射剤

41 インスリンの用法記載が不十分 [根本真吾]

42 インスリンの「医師の指示通り」の記載 [町田和敏]

経腸栄養剤

43 経腸栄養剤の味の指定 [鈴木邦彦]

一包化指示

44 追加処方薬の一包化指示の消し忘れ [田丸蓉子]

同成分薬・同効薬への変更,剤形・規格変更の許可

45 在庫,流通による製剤変更 [高野浩史]

不適切な剤形の選択

46 徐放錠に粉砕指示が入った場合 [畠 玲子]

処方の誤り(剤形)

47 オキシコドン錠とオキシコドン徐放錠の処方間違い [小笠原まりあ]

保険適用外使用

48 ビタミンB12欠乏症に対するメコバラミンの処方 [根本真吾]

49 高齢女性に対するゾルピデムの用量 [児島悠史]

50 調剤料を算定できない処方 [山本雅洋]

保険・公費の不備

51 公費負担医療対象薬剤の不指定 [新原博輝]

3章 それぞれの立場からみた疑義照会

1 病院薬剤師の立場からみた疑義照会 [桑原秀徳]

2 医師の立場からみた疑義照会 [北 和也]

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書籍情報

  • ISBN:9784498120181
  • ページ数:200頁
  • 書籍発行日:2024年2月
  • 電子版発売日:2024年2月2日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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