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- 実験医学別冊 もっとよくわかる!エピジェネティクス
商品情報
内容
生物にとってエピジェネティクスはなぜ必要なのか,その本質を丁寧に解説した入門テキスト.分子メカニズムから関連する生命現象や疾患までを収載し,基本原理と分子・現象をつなぎ合わせて理解できる一冊.
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序文
はじめに
「エピジェネティクスは難しい」と思われがちである.確かに持続性と変化,厳格性と柔軟性など,その特質が真逆のことばで表現されたりするし,化学的な修飾や関係する分子の種類がやたらと出てくる.そこで本書では,できるだけ易しい例えを用いて概念的なことを説明しつつ,最先端の分子的な知識も表や図の中でまとめて得られるように工夫した.基礎的な生物学や医学の知識さえお持ちであれば,楽しんでいただける内容にしたつもりである.
まず,第Ⅰ部を導入編として身近な内容から話を起こし,第Ⅱ部を基礎編としてエピジェネティクスの基本的な分子基盤について解説した.さらに第Ⅲ部を展開編としてエピジェネティクスのかかわる生命現象について解説し,最後に第Ⅳ部を応用編としてヒト疾患とのかかわりについて述べた.すなわち,本書に目を通せばエピジェネティクスの基礎から応用までを俯瞰できるようになっている.
しかしながら本書の使い方は読者の自由である.自分の興味のあるところから読みはじめてもよいし,索引を用いて辞書的に使っていただいてもいい.さまざまな修飾や分子をまとめた図表は,便利なチャートとして活用してもらうこともできる.また巻末には主な文献をまとめてあるので,それらも活用していただけるとありがたい.
そもそも著者のひとりである佐々木が本書の企画を受けたのは2011 年のことであった.しかし,さまざまなことが障壁となり(真相は佐々木が仕事を引き受け過ぎるためであるが),執筆はなかなか進まなかった.紆余曲折を経て,2014 年に鵜木が参加してようやく少しずつ前に進みはじめ,この度ようやく完成にこぎつけることができた次第である.この間,羊土社の編集部のかたがたには辛抱強くお待ちいただき,感謝の言葉さえ見つからない.(じつは,そろそろ契約不履行で訴えられるのではないか,と心配になった時期もあったくらいである.)担当していただいた𠮷田雅博氏,間馬彬大氏,田頭みなみ氏,高木亮輔氏,そして一戸裕子社長,有り難うございました.
時間がかかった分だけ内容を更新する必要があったが,その分研究が進み,より明確な記述ができるようになった事項もあった.また,新発見を書き足すことができた章もあった.
そう考えると,時間が経過したことも悪いことばかりではなかったかも? この過程はエピジェネティクスそのもの―本書の基本的なDNA をしっかりと守りつつ世の中の変化に柔軟に対応できた―ともいえよう.
いずれにしても,ようやく完成にこぎつけた本書を少しでも楽しんでいただければ幸いである.長い道のりを振り返りつつ筆をおく.
2020年8月
鵜木 元香
佐々木裕之
目次
第Ⅰ部 導入編(エピジェネティクス入門)
1章 エピジェネティクスとは?
1 エピジェネティクス研究がもたらす未来!?
2 エピジェネティクスがかかわる身近な生命現象
3 20世紀後半に成立した新しい学問分野
4 エピゲノムを解読する学問―エピゲノミクス
2章 エピジェネティクスはゲノムの高度活用戦略である
1 発生・分化の門番としてのエピジェネティクス
2 エピジェネティクスが多様性を生み出す
3 環境と遺伝子のインターフェイスで…
4 生物学と医学の新たな切り口
第Ⅱ部 基礎編(エピジェネティクスの分子基盤)
1章 クロマチンとエピジェネティクス
1 エピジェネティクスの基盤は核内クロマチンにあり!
2 クロマチンの化学修飾と高次構造変化
3 エピジェネティックな制御の基本的要素
2章 DNAのメチル化
1 生命の進化とDNAのメチル化
2 DNAにメチル基を付けるしくみ,はずすしくみの生化学
3 ゲノムDNA上のどこがメチル化されるのか?
4 DNAメチル化が遺伝子の発現を抑制するしくみ
5 DNAメチル化に影響を与えるその他の因子
3章 ヒストンのエピジェネティック修飾
1 ヒストンとは
2 ヒストンのアセチル化
3 ヒストンのメチル化
4 ヒストンのリン酸化
5 ヒストンのユビキチン化
6 その他のヒストン修飾
4章 クロマチンの構造にかかわるその他の因子
1 クロマチンリモデリング複合体
2 ポリコームおよびトライソラックス複合体による転写調節
3 核内高次構造とエピジェネティクス制御
4 非コードRNAとエピジェネティクス
5章 エピジェネティック制御ネットワーク
1 エピジェネティクスは転写の記憶である
2 修飾間のクロストーク
3 代謝とエピジェネティクスのクロストーク
4 残された課題:標的特異性とヒストン修飾の維持・伝達機構
6章 エピゲノム解析
1 エピジェネティクス解析技術の原理
2 エピゲノムの可視化技術
3 エピゲノムの改変技術
第Ⅲ部 展開編(エピジェネティクスのかかわる現象)
1章 発生・分化とエピジェネティクス
1 エピジェネティックランドスケープ
2 発生段階および細胞系譜に特異的な変化
3 生殖細胞におけるエピゲノムの変化
4 体細胞クローン動物のエピゲノムは?
2章 ゲノムインプリンティング
1 哺乳類では単為生殖は不成功
2 親に依存する遺伝子発現
3 インプリンティング制御の分子実体
4 単為発生マウス「かぐや」の誕生
5 インプリンティングの進化
3章 X染色体の不活性化
1 性染色体の遺伝子量補償
2 不活性化のサイクル
3 不活性化の引き金を引くXIST非コードRNA
4 三毛猫の模様
5 ランダム型X染色体不活性化と伴性遺伝病
4章 トランスポゾンの抑制
1 ゲノムを占拠してゆくパラサイト
2 DNAメチル化やヒストン修飾によるトランスポゾンの転移抑制
3 小分子RNAの役割
4 アサガオの模様(フライングソーサーと雀斑変異体)
5 アブラヤシの油脂生産性とトランスポゾンの業(ごう)
5章 多様性と老化と環境の影響
1 一卵性の双子の違いはどこからくる?
2 老化とエピジェネティクス
3 食餌とエピジェネティクス:ミツバチとマウスの例
4 母性行動とストレス抵抗性
5 植物の春化現象
6 哺乳類における寒冷刺激とエピジェネティクス
7 よい環境で記憶力アップ?
6章 エピジェネティックな変化は子孫へ伝わるか
1 エピアレルと植物
2 動物におけるエピジェネティックな変化の世代間伝承
第Ⅳ部 応用編(ヒト疾患とのかかわり)
1章 がん
1 がん細胞のブレーキとアクセル
2 がん細胞のエピゲノム変化
3 がん細胞におけるエピジェネティック制御因子の変異
4 エピゲノムを指標としたがん診断
5 エピジェネティック制御因子を標的としたがん治療
2章 エピジェネティクス機構の先天異常
1 ライターに変異がある代表的な疾患
2 イレイサーに変異がある代表的な疾患
3 リーダーに変異がある代表的な疾患
3章 ゲノムインプリンティング関連疾患
1 ゲノム全体の由来の異常に基づく疾患
2 特定のゲノム領域の異常によるインプリンティング関連疾患
3 マルチローカスインプリンティング異常
4 生殖補助医療とインプリンティング関連疾患
4章 DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)仮説
1 ヒトにおけるDOHaD研究の歴史
2 DOHaD仮説を検証するための動物モデル
5章 精神・神経系疾患
1 精神疾患とエピジェネティクス
2 神経変性疾患とエピジェネティクス
6章 自己免疫疾患とアレルギー
1 自己免疫疾患
2 炎症性腸疾患とエピジェネティクス
3 腸内細菌とエピジェネティクス
4 アレルギー
7章 再生医療とエピゲノム
1 人工的な細胞のリプログラミング
2 iPS細胞とがん
8章 エピジェネティクス研究のこれから
1 国際ヒトエピゲノムコンソーシアムと四次元ヌクレオームプロジェクト
2 他の学問分野や技術との融合をめざして
3 残されたエピジェネティクス固有の課題
4 おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784758122078
- ページ数:190頁
- 書籍発行日:2020年9月
- 電子版発売日:2020年9月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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