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- 関節外科 2019年7月号 Vol.38 No.7 骨脆弱を伴う骨折の治療
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序文
introduction
いうまでもなく,骨折の治療は整形外科医にとって最も根本的かつ重要な手技です。しかし,症例は年齢,併存症,受傷機転,骨折の部位,骨折形態,骨質などがまったく異なりますので,症例ごとに個別の治療戦略が必要となります。骨折の治療に関して読者が難渋されていることの一助となる特集号にしたいと考え,「骨脆弱性を伴う骨折の治療」を特集テーマとさせていただきました。骨脆弱が生じる原因疾患は多岐にわたり,その原因疾患によって,原疾患の治療法,受傷前の運動能力,生命予後も異なります。そこで原因疾患別に理解を深めることが有用であると判断し,原因疾患ごとに診断と治療法をまとめることにしました。
日本は急激に超高齢社会を迎えており,骨粗鬆症に伴う骨脆弱性については多数の論文がある一方で,骨軟化症の診断と治療についてフォーカスを当てた論文は少ないので,まず論述していただきました。次に大腿骨頭壊死症と誤診されることも多い,大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の診断と治療について論述していただきました。重度骨粗鬆症に伴う骨脆弱を呈する骨折の治療については,臨床現場で役立つ具体的な記述とするために脊椎,橈骨遠位端,上腕骨近位端と部位別に論述をお願いいたしました。日本で10万人以上の方が罹患しているParkinson病患者は骨脆弱性を伴った骨折を生じて治療に難渋することが多いので,脊椎,四肢長管骨と部位別に分けて論述していただきました。血液透析患者については,長管骨骨折の治療と大腿骨近位部骨折治療後のリハビリテーションについてまとめていただきました。関節リウマチでは,炎症やステロイドによる骨脆弱性の進行や活動性の低下による連鎖的な骨折を生じますので,その治療について論述していただきました。非定型大腿骨骨折は発生メカニズムもいまだ不明ですが,低エネルギーで生じる骨折であり,骨癒合が得られにくく治療に難渋することから本特集で取り上げることとしました。
脆弱性骨折を生じた症例では,骨折した部位のみが脆弱となっているのではなく,全身で骨脆弱性が生じています。すなわち「骨脆弱性を伴う骨折の治療」では,骨折部位の治療だけで治療が終了するのではなく,続発する他の部位の骨折を予防することが重要ですので,最後に脆弱性骨折術後の薬物療法について論述していただきました。
これら多岐にわたる分野に関して,知識と経験が豊富な先生方に執筆していただきました。本特集が,治療に難渋する「骨脆弱性を伴う骨折の治療」に対峙する読者の皆様の一助となり,治療成績を少しでも上げる一助となれることを祈念しております。
最後に本当にお忙しいなか,ご執筆を御快諾いただいた執筆者の先生方に厚く御礼申し上げます。
鹿児島赤十字病院整形外科
瀬戸口啓夫
目次
特集:骨脆弱を伴う骨折の治療 企画・編集:瀬戸口啓夫
introduction 瀬戸口啓夫
骨軟化症の診断と治療 秋山健一ほか
大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の診断と治療 山本卓明
重度骨粗鬆症患者の脊椎骨折治療 大場哲郎ほか
重度骨粗鬆症患者の橈骨遠位端骨折治療のキーポイント 小笹泰宏ほか
重度骨粗鬆症患者の上腕骨近位端骨折治療のキーポイント 山田光子ほか
Parkinson病患者の椎体骨折の治療 中川幸洋
Parkinson病患者の四肢長管骨骨折 加藤大策
腎臓内科医からみた維持血液透析患者の椎体圧迫骨折治療 長谷川 頌
血液透析患者の長管骨骨折に対する骨接合術の臨床成績 西頭知宏ほか
人工透析患者の大腿骨近位部骨折術後リハビリテーション 緒方直史
関節リウマチに伴う骨脆弱性骨折治療のキーポイント 砂原伸彦ほか
非定型大腿骨骨折治療のピットフォール 土江博幸ほか
脆弱性骨折手術後の骨粗鬆症薬物療法 稲毛一秀ほか
連載
・私の整形外科診療のコツ
第2回 肩腱板断裂-肩関節鏡視下手術におけるコツ- 菅谷啓之
・これだけは知っておきたい,整形外科的徒手検査法
第43回 下肢,膝関節 Apley test 小島岳史
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書籍情報
- ISBN:9784008203807
- ページ数:108頁
- 書籍発行日:2019年6月
- 電子版発売日:2021年10月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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