医学のあゆみ272巻7号 ACLF(acute-on-chronic liver failure)

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2020年2月
  • 電子版発売日 : 2022年2月18日
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商品情報

内容

ACLF(acute-on-chronic liver failure)
企画:持田 智(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)


・肝硬変患者は,飲酒,感染症,消化管出血などを契機に,肝予備能が短期間に低下する場合がある.この病態をacute-on-chronic liver failure(ACLF)とよんでいる.
・厚生労働省“難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究”班の劇症肝炎分科会は,“わが国のACLFの診断基準”を2018年に発表し,同年度からこれに準拠した症例の全国調査を実施している.
・わが国におけるACLFの研究は開始直後であり,解決しなくてはならない事項は山積している.本特集ではACLFに関する研究の現況を整理し,今後の方向性を展望することをめざす.

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序文

はじめに


肝硬変患者は,その成因に対する治療が実施できない場合,あるいは不成功の場合には肝予備能が徐々に低下して非代償性となる(chronic decompensation).しかし飲酒,感染症,消化管出血などを契機に,肝予備能が短期間に低下する場合もあり,この病態をacute-on-chronic liver failure(ACLF)とよんでいる.

ACLFは1981年にDame Shella Sherlock(University College London)が,アルコール性肝硬変患者が大量飲酒を契機に肝不全に陥る病態,すなわち重症アルコール性肝炎を念頭に提唱した疾患概念である.わが国では,厚生省“難治性の肝炎調査研究”班の劇症肝炎分科会(武藤泰敏教授:岐阜大学)が,1984~1986年にACLFの位置づけを検討した.しかし当時,わが国には重症アルコール性肝炎の症例が少なく,ACLFに関する研究が進められることはなかった.一方,B型肝炎ウイルスが蔓延するアジア諸国には,B型慢性肝疾患の急性増悪で肝不全に陥る症例が多く,ACLFに相当する病態が注目された.そこで2009年に,Shiv Kumar Sarin教授(Institute of Liver and Biliary Sciences)が,成因および急性増悪要因(acute insult)をアルコール以外にも拡張したACLFの概念を,アジア太平洋肝臓学会(The Asian Pacific Association for the Study of Liver:APASL)から発表した.また欧米では,感染症などを契機に死の転帰をたどる症例が問題となり,肝硬変患者の病態として腎不全など肝以外の臓器不全が注目されるようになった.そこで,欧州肝臓学会(European Association for the Study of the Liver:EASL)はRajiv Jalan教授(University College London)が中心となって,米国肝臓病学会(American Association for the Study of Liver Diseases:AASLD)と共同で,多臓器不全を念頭に置いたACLFの診断基準を発表した.さらに2013年には,EASLの慢性肝不全(Chronic Liver Failure:Clif)協会が,同診断基準に基づいて,多施設共同調査(the EASL-Clif Acute-On-Chronic Liver Failure in Cirrhosis study:CANONIC)を実施して,ACLFの病態を明らかにしている.

以上のような歴史的背景を考慮して,厚生労働省“難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究”班の劇症肝炎分科会(持田 智:埼玉医科大学)は,APASLおよびEASL-Clif Consortiumの診断基準を参考にして,“わが国のACLFの診断基準”を2018年に発表し,同年度からこれに準拠した症例の全国調査を実施している.したがって,わが国におけるACLFの研究は開始直後であり,解決しなくてはならない事項は山積している.本特集ではACLFに関する研究の現況を整理し,今後の方向性を展望することをめざす.


持田 智
埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科

目次

特集:ACLF(acute-on-chronic liver failure)

わが国の診断基準と全国調査に基づいた実態……中山伸朗

海外の診断基準――EASL-Clif ConsortiumとAPASL ACLF Research Consortium……柿坂啓介・滝川康裕

アルコール関連ACLF……土屋淳紀・寺井崇二

ACLFとウイルス肝炎,自己免疫性肝炎……近藤孝行・加藤直也

ACLFと細菌感染症……高谷広章・吉治仁志

ACLFと門脈圧亢進症――消化管出血に起因するACLFの病態……瀬川誠・他

ACLFの治療……熊谷公太郎・井戸章雄

TOPICS

【細胞生物学】

三量体G蛋白質シャトリング制御……上村陽一郎・上田昌宏

【神経精神医学】

根気は海馬とセロトニンが制御する……吉田慶多朗・田中謙二

【細胞生物学】

Snf1-related kinase……神津英至

連載

【診療ガイドラインの作成方法と活用方法】

12.医療経済評価を日本の診療ガイドラインにいかに組み入れるか……池田俊也

【老化研究の進歩】

はじめに……石井直明

1.老化の分子シグナル……森亮一・下川功

フォーラム

ここまで進化した手術中の低侵襲的循環モニター……中山徹三・山浦健

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書籍情報

  • ISBN:9784006027207
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2020年2月
  • 電子版発売日:2022年2月18日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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