医学のあゆみ272巻12号 遺伝と精神疾患

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2020年3月
  • 電子版発売日 : 2022年2月9日
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商品情報

内容

遺伝と精神疾患
企画:岩田仲生(藤田医科大学医学部精神科)


・精神医学が扱う“疾患”とは,そもそも何であろうか.――精神医学はいまだにその解が得られていない,あるいはその病態生理が明らかになると感染症,神経変性症,腫瘍など,ほかの領域の疾患とされ,今日に至っているのがこの100年の歴史であろう.
・100年前には親から子へ形質がどのように継承されるか不明であったが,メンデル法則の発見,DNA二重らせん構造とそれによる遺伝情報継承メカニズムの解明,そしてヒトゲノム解読を起点とした現在のゲノム医科学の進展は,疾患研究に革命的なパラダイムをもたらしている.
・遺伝要因の解析は本特集で詳細されているとおり,ビッグデータとその解析に依拠するところであり,今後はこれらのビッグデータ――遺伝要因を基軸に行動情報,さまざまな臨床情報(画像,バイオマーカー)を複合的に解析することで,新たな精神医学の未来を切り開いていく黎明期に今いるのではないか.

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序文

はじめに


精神医学が扱う“疾患”とは,そもそも何であろうか.――精神医学はいまだにその解が得られていない,あるいはその病態生理が明らかになると感染症,神経変性症,腫瘍など,ほかの領域の疾患とされ,今日に至っているのがこの100年の歴史であろう.思考,認知,情動といった脳の高次機能の偏差が標準より大きいことと,それに依拠する行動の変容が認める場合,広く“障害”として精神医学は医療の対象としてきた.脳の高次機能の理解は現代医科学の主要な課題ではあるが,その解明には至っておらず,ゆえに“精神疾患”そのものへのアプローチも不明のままである.

しかし,この100年間に医科学は遺伝学が飛躍的に進展したことで新たなステージに入っている.100年前には親から子へ形質がどのように継承されるか不明であったが,メンデル法則の発見,DNA二重らせん構造とそれによる遺伝情報継承メカニズムの解明,そしてヒトゲノム解読を起点とした現在のゲノム医科学の進展は,疾患研究に革命的なパラダイムをもたらしている.

主要な精神疾患の遺伝要因が大きいことは,精神医学研究における遺伝研究の重要性の裏づけでもあるが,遺伝要因で精神疾患がすべて説明できないことも一卵性双生児の不一致率から当初からわかっており,遺伝環境相互作用の解析が必須である.ただし,遺伝要因で説明できることは真であり,かならず再現することから,まずは遺伝要因=疾患遺伝構築を明らかにした後に環境要因との交互作用解析へと踏み出そうとしているのが現時点ではないか.

加えて,21世紀に入ってからの情報科学と情報化社会の進展は,精神医学研究を新たな次元へと切り開こうとしている.精神医学が扱う行動がdigital phenotypingを駆使することで,これまで未知であったヒトの行動に関する莫大なデータを集積かつ解析することが可能となりつつある.これまで主観的体験として言明される,あるいは個々人の行動様式の詳細な観察のみで得られてきた行動変容が,digital informationの活用により莫大な数・量の行動データを集積できるようになってきた.

そして,遺伝要因の解析は本特集で詳説されているとおり,まさにビッグデータとその解析に依拠するところであり,今後はこれらのビッグデータ――遺伝要因を基軸に行動情報,さまざまな臨床情報(画像,バイオマーカー)を複合的に解析することで,新たな精神医学の未来を切り開いていく黎明期に今いるのではないか.

本特集では,国内を代表する精神医学領域の遺伝研究者に,現時点についてまとめていただくことで,次の地平への道標となることを祈念している.


岩田仲生(藤田医科大学医学部精神科)

目次

特集:遺伝と精神疾患

精神科遺伝学からみた精神疾患の表現型……金沢徹文・米田博

統合失調症の遺伝子研究――Genome-wide association study(GWAS)の結果を中心に……池田匡志・他

双極性障害の遺伝子研究――双極性障害のゲノムワイド関連解析……齋藤竹生・他

うつ病の遺伝子研究……富田博秋

精神神経疾患のレアバリアント研究……高田篤

精神疾患の薬理遺伝研究の現状と今後の展望……加藤正樹

精神疾患とエピジェネティクス――セロトニントランスポーターの大規模DNAメチル化解析からの考察……岩本和也・他

TOPICS

【神経精神医学】

ACE(小児期の逆境体験)の子どもの精神発達への影響……三宅和佳子

【神経内科学】

RESPECT研究:脳卒中再発予防の降圧レベル……北川一夫

【循環器内科学】

心不全とがん……坂本真里・北風政史

連載

【診療ガイドラインの作成方法と活用方法】

15.実装科学からみた診療ガイドラインの活用促進……梶有貴・島津太一

【老化研究の進歩】

4.脂質代謝と抗老化メカニズム……田川亮真・他

フォーラム

【医療社会学の冒険】

23.不死となった身体(の一部)……美馬達哉

「腹が立つ」はどこからきた言葉か――縄文の感性が脳腸相関の基礎をつくった?……佐藤信紘

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書籍情報

  • ISBN:9784006027212
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2020年3月
  • 電子版発売日:2022年2月9日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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