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- 病理と臨床 2023年4月号(41巻4号)尿路系腫瘍の現在~WHO2022の根幹に触れる
商品情報
内容
尿路腫瘍の臨床診断・治療/尿路腫瘍の画像診断/非浸潤性尿路上皮癌の病理/浸潤性尿路上皮癌の病理/非尿路上皮性尿路腫瘍の病理/膀胱癌の分子サブタイプと免疫表現型 他を取り上げる.連載記事として,[マクロクイズ],[鑑別の森],[若手病理医のためのキャリアパス講座],また,[「非腫瘍性疾患病理アトラス 腎」刊行記念座談会],[今月の話題]を掲載.
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序文
特集
尿路系腫瘍の現在―WHO2022の根幹に触れる―
尿路系腫瘍の90%以上は尿路上皮系腫瘍であることから,尿路系腫瘍は単一な病態としてとらえられている傾向がある.そのことを反映してか,病理系雑誌で尿路系腫瘍が取り上げられることは日本では少なく,最近では本誌35巻9号(2017年)「尿路上皮腫瘍 ̶変わりつつある概念̶」で取り上げられたのが最後である.欧米の尿路系腫瘍に対する関心の高さとは好対照である.その一方,日本人著者による尿路系腫瘍に関する英文論文投稿数は比較的多く,実際には尿路系腫瘍に興味をもっている病理医が多いと思われる.
2021年には腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第2版(以下,新規約)が,2022年には泌尿器領域のWHO分類第5版(以下,WHO2022)が発刊されたことから,疾患概念を改めて見直す良い機会ととらえ,尿路上皮系腫瘍を見直す企画を試みた.
他臓器と比較して,尿路上皮系腫瘍の診断および治療には長い間大きな進展はなかった.しかしながら,この数年間でCT・MRIの進歩および膀胱鏡による新規観察方法により,診断精度の目覚ましい向上がみられるようになった.また治療法にも大きな進歩を認めるようになった.今回の特集では泌尿器科および放射線科の立場から,これらの進歩の解説がされている.病理に関しては,平坦病変ならびに内反性増殖を示す病態の解釈に大きな変化が生じ,新規約およびWHO2022 に紹介されている.それらについても今回の特集で取り上げた.進行性尿路上皮癌の治療は白金製剤を中心とする治療が主体であるが,その奏効性を予測する方法は皆無であった.近年の分子生物学的解析の進歩により,予後および白金製剤に対する反応性の違いが予測可能であること,それらが亜型と密接に関連していることが認識されるようになった.そうしたことに伴い,従来あまり重要視されていなかった亜型診断の重要性が再認識されてきた.ただ,尿路上皮系腫瘍以外の尿路系腫瘍に関する知見は十分ではなく,その正確な理解は患者の治療方針決定には重要である.また,近年急速に尿路系腫瘍に対する様々な治療方法が開発されてきているが,それに対応する病理側の知識は十分とは言いがたい.尿細胞診は尿路系腫瘍の重要な診断ツールである.高異型度病変のみを尿細胞診の対象とするパリシステムが提唱され,新規約およびWHO2022でも正式採用された.
本特集号は,病理診断に従事する一般病理医が知っておくべき尿路系腫瘍の関連事項の理解に重点をおいた.これらの内容は病理医の多くにはなじみが薄いと思われるが,最新の尿路系腫瘍の知識を取り入れることで適切な病理診断が可能になるように解説を盛り込んだ.本特集号が尿路系腫瘍に苦しむ患者が最適な治療を受けるための一助となることを期待する次第である.
宮居弘輔 [防衛医科大学校病院 検査部病理]
都築豊徳 [愛知医科大学医学部 病理診断学講座]
目次
【特 集】
尿路腫瘍の臨床診断・治療……佐野剛視 他
尿路腫瘍の画像診断……鳴海善文 他
非浸潤性尿路上皮癌の病理……川崎 隆
浸潤性尿路上皮癌の病理……宮居弘輔
非尿路上皮性尿路腫瘍の病理……林 博之 他
尿路上皮癌の術前・術後療法で知っておきたい病理項目……都築豊徳
尿細胞診のパラダイムシフト―高異型度尿路上皮癌の報告に特化したパリシステム―……南口早智子
膀胱癌の分子サブタイプと免疫表現型……吉田 崇 他
【連 載】
マクロクイズ[168]
泉 美貴 他
鑑別の森[19]
肝臓生検での自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性胆管炎(PBC)
Answer 1:伊倉義弘
Answer 2:原田憲一
若手病理医のためのキャリアパス講座[17]
病理形態学という引き出しを持つことの強み……榎本 篤
【「非腫瘍性疾患病理アトラス 腎」刊行記念座談会】
面白いと苦手は表裏一体 ―腎生検病理診断の魅力―……大橋健一,小池淳樹,冨田茂樹,原 重雄
【今月の話題】
リアルワールドデータ……谷田部 恭
【Information】
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書籍情報
- ISBN:9784011204104
- ページ数:100頁
- 書籍発行日:2023年4月
- 電子版発売日:2023年3月28日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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