病理と臨床 2023年5月号(41巻5号)前立腺癌~病理と臨床のクロストーク

  • ページ数 : 106頁
  • 書籍発行日 : 2023年4月
  • 電子版発売日 : 2023年5月10日
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内容

前立腺癌~病理と臨床のクロストーク

特集テーマは「前立腺癌~病理と臨床のクロストーク」.前立腺癌の診断・治療手技と泌尿器科医からのメッセージ/泌尿器科医が求めている前立腺病理診断報告書/前立腺癌取扱い規約第5版 病理学的事項の改訂点/前立腺導管に関連した病変/前立腺癌のがん遺伝子パネル検査 他を取り上げる.連載記事として,[マクロクイズ],[鑑別の森],[若手病理医のためのキャリアパス講座],また,[今月の話題],[Review/Opinion]を掲載.

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序文

前立腺癌 ―病理と臨床のクロストーク―

いかなる臓器・疾患分野であれ,適切で精度の高い病理診断の遂行のためにはその分野の臨床的知識の習得と必要十分な臨床情報収集が最重要であることは,いまさら言をまたない.しかしながら,多岐にわたる臓器系統の病理診断を行っている病理医にとって,日進月歩で進んでいく臨床的事項を的確に修得していくことは必ずしも容易ではない.病理医が診断する検体は,臨床医および患者のニーズにより発生するものであり,生検や手術を行う際に臨床医が何を意図しているのか,どのような報告を望んでいるのかを知ることは,より質の高い病理診断のためには必須である.泌尿器病理分野においても,各種学会や研究会で,このテーマについての検討がなされてきた.しかしながら,学会・研究会では参加人員も限られており,その場でのディスカッションに終始しているのが現状であろう.

このような背景を踏まえ,本特集では,前立腺癌診療にまつわる病理医と臨床医,画像診断医のクロストーク(対話)をメインテーマとした.前立腺癌診療のプロセスに沿って項目を立て,各々の立場からの解説とメッセージを発信していただくことを主眼に置いている.

前半の臨床パートでは,今日における前立腺癌の臨床診断に重要な検査,リスク分類,治療選択,そしてフォローアップにまつわる事項と病理医が知っておくべきポイントについて解説のうえ,泌尿器科医が求めている病理診断報告書についての提言をしていただいた.また前立腺癌の画像診断は近年格段の進歩を遂げており,それを基盤として,従来のプロトコール生検のみから,昨今では画像診断を用いた狙撃生検を組み合わせる方法が主流となっている.画像診断学的知識の習得は切り出し時の肉眼的観察,ひいては組織診断に必須であることは言うまでもない.

臨床パートに続く後半の病理パートでは最新の病理学的情報の発信を主眼とした.その内容は2022 年6 月に発刊されたWHO 分類第5 版,2022 年5 月に刊行された前立腺癌取扱い規約第5版を踏まえたものとなっている.本特集では,組織型,Gleason分類の改訂点と報告のポイント,免疫染色と鑑別診断,導管内病変について,最新の知見を踏まえ解説をお願いした.そして最後に前立腺癌の分子生物学的事項,遺伝子パネルの現況とこれからの展望について解説をお願いした.

本特集が,病理医にとって前立腺癌の臨床・病理学的知識習得の一助となり,各施設において病理医と臨床医のクロストークがさらに確固たるものとなれば,この上ない喜びである.


鷹橋浩幸 [東京慈恵会医科大学 病理学講座]
木村高弘 [東京慈恵会医科大学 泌尿器科学講座]

目次

【特 集】

前立腺癌の診断・治療手技と泌尿器科医からのメッセージ─前立腺癌の治療やフォローアップに影響を与える病理学的因子─ 橋本 剛 他

前立腺癌のMRI診断―診療の中での役割と病理との関係― 吉田理佳 他

泌尿器科医が求めている前立腺病理診断報告書 岩谷洸介 他

前立腺癌取扱い規約第5版 病理学的事項の改訂点 ①組織学的分類と報告事項 佐藤 峻 他

前立腺癌取扱い規約第5版 病理学的事項の改訂点 ②Gleason分類 仙波玲美 他

神経内分泌分化を示す前立腺癌の診断と免疫組織化学の使用方法 中村保宏

前立腺導管に関連した病変―疾患概念と臨床病理学的特徴― 宮居弘輔

前立腺癌のがん遺伝子パネル検査―現状と展望― 中村裕一郎 他

【速報解説!】

「WHO Reporting System for Lung Cytopathology」 廣島健三

「膵胆道細胞診報告様式におけるWHOシステム」 福嶋敬宜

【連 載】

マクロクイズ[169]

片山彩香

鑑別の森[20]

乳腺の乳管内乳頭腫と乳頭型DCIS

Answer 1:堀井理絵

Answer 2:前田一郎

若手病理医のためのキャリアパス講座[18]

病理から生化学へ 田中正光

【今月の話題】

淡明細胞型腎細胞癌の好酸性細胞領域からどのような情報が得られるか? 大江知里

「Review/Opinion】

血流維持型汎用血管内視鏡からみた大動脈粥状硬化斑破綻の臨床病理学的研究―動脈硬化症の新しい視点と研究法― 由谷親夫 他

【Information】

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書籍情報

  • ISBN:9784011204105
  • ページ数:106頁
  • 書籍発行日:2023年4月
  • 電子版発売日:2023年5月10日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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