病理と臨床 2023年11月号(41巻11号) 子宮Ⅰ―子宮頸部―

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2023年11月
  • 電子版発売日 : 2023年11月3日
3,190
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内容

特集テーマは「子宮Ⅰ―子宮頸部―」.最新のWHO分類と取扱い規約,HPV感染による腫瘍発生機構,HPV関連上皮内腺癌と浸潤性腺癌,HPV非依存性上皮内腺癌と浸潤性腺癌,子宮頸部腫瘍性病変と鑑別の必要な病変,子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の現状 他を取り上げる.連載記事として[マクロクイズ],[鑑別の森],[AIと病理],[病理トレンド],また,[今月の話題],他を掲載.

序文

特集
子宮Ⅰ ─子宮頸部─


子宮頸部あるいは体部の病理組織診断件数は消化管に次いで多く,本邦の病理医の多くが日常的に遭遇する代表的な臓器である.しかし,特に頻度の高い頸部の扁平上皮内病変squamous intraepithelial lesion(SIL)や腺系病変,体部の内膜増殖性病変は,前者ではヒトパピローマウイルスhuman papillomavirus(HPV)感染による修飾,後者では複雑なホルモン動態に関する理解が必要であり,診断者間の再現性が必ずしも高くないことも相俟って苦手意識をもつ病理医が少なくないこともよく聞かれる.

本誌特集では概ね5年ごとに子宮の病理が取り上げられてきたが,前回特集(36巻8号)から5年目となる今回は,折しも2022年12月に刊行された子宮頸癌,子宮体癌の各取扱い規約第5版を踏まえた形での企画となる.両規約は,2020年9月刊行のWHO分類第5版に準じており,2014年のWHO第4版以降に蓄積された分子病理学的知見や新たな疾患概念,分類の改組などが盛り込まれている.

本特集では第一部(11号)を頸部,第二部(12号)を体部とし,改訂された規約に基づいた新たな分類や組織型,最近のゲノム医療関連情報など日常病理診断に役立つ情報を読者の先生方にお届けすることを目的に項目を考案した.

第一部の子宮頸部では,新WHO分類と新規約についての総論的解説を皮切りに,HPV感染に関するウイルス学的観点からのアプローチ,日常的に最も遭遇する扁平上皮病変を取り上げ,また今回の改訂で分類が大きく変更された腺系病変については,HPV関連腺癌とHPV非依存性腺癌に分けた項目とした.さらには,子宮頸癌のゲノム異常に関する知識および分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などによる新しい治療法に関する項目とともに,紆余曲折を経て2021年11月より積極的推奨が再開されたHPVワクチンについて,歴史的経緯や世界の状況,社会的動向などを含めた解説となるような項目も設定した.

なおHPV感染による子宮頸部扁平上皮癌の前駆病変について,現在の日常診療の場においてはSILの用語が一般的となっているが,本特集の一部の項では,ウイルス学の領域において蓄積されたdysplasia/子宮頸部上皮内腫瘍 cervical intraepithelial neoplasia(CIN)ベースでの研究成果を踏まえてこれらの用語が用いられている.読者の先生方には必要に応じてSILに読み替えていただければ幸いである.

2回にわたる子宮頸部・体部病変の特集が,知識のupdateに役立つとともに,日常病理診断上の悩みや迷いの解消に少しでもつながれば,企画者にとって大きな喜びである.


笹島ゆう子 [帝京大学医学部 病理学]
大石善丈 [飯塚病院 病理科]

目次

【特 集】

最新のWHO分類と取扱い規約……川上 史 他

HPV感染による腫瘍発生機構……中原知美

子宮頸部扁平上皮病変―SILおよび扁平上皮癌―……清川貴子

HPV関連上皮内腺癌と浸潤性腺癌……森谷鈴子

HPV非依存性上皮内腺癌と浸潤性腺癌……浅香志穂

子宮頸部腫瘍性病変と鑑別の必要な病変……笹島ゆう子

子宮頸癌のゲノム異常と新しい治療法……矢野光剛

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の現状……宮城悦子

【連 載】

・マクロクイズ

[175]

安岡弘直

・鑑別の森

[26]

大動脈のIAAAと高安動脈炎瘢痕期

Answer 1:髙橋 啓

Answer 2:池田善彦

・AIと病理─これまでの5年,これからの5年

[4]

放射線医学と医療AI……待鳥詔洋

・病理トレンド

[5]

日本病理剖検輯報の季節……宇於崎 宏

【今月の話題】

キュビリン変異に伴う蛋白尿……原 重雄

固形腫瘍の遺伝子検査の今昔……畑中 豊

【令和4年度日本病理学会100周年記念病理学研究新人賞 受賞体験記】

肝細胞癌の血管構造解析ならびに血管新生因子発現解析……松田紘典

正常卵管に存在するβ-catenin異常細胞集塊“β-catenin signature”……小山 慧

SMARCA4低発現且つSMARCA2高発現の卵巣高異型度漿液性癌細胞がプラチナ製剤抵抗性に寄与する……城戸完介

【Information】

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書籍情報

  • ISBN:9784011204111
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2023年11月
  • 電子版発売日:2023年11月3日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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