Medical Practice 2023年5月号(40巻5号) 肺高血圧症―早期発見,早期診断にむけて―

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2023年5月
  • 電子版発売日 : 2023年5月8日
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商品情報

内容

肺高血圧症~早期発見,早期診断にむけて

特集テーマは「肺高血圧症~早期発見,早期診断にむけて」.記事として,[座談会]肺高血圧症─血行動態の改善からQOLの改善にむけて,[総説]肺高血圧症の歩み─歴史から最新の分類,病態まで─,[セミナー]肺疾患に伴う肺高血圧症,[トピックス]精神疾患に潜む肺高血圧症,[One Point Advice]肺炎像は必ずしも感染ではない./ベストな体重はどのくらいでしたか?,[知っておきたいこと ア・ラ・カルト]慢性疲労症候群.

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序文

肺高血圧症
早期発見,早期診断にむけて


“肺高血圧症ってどういう病気?”

10年ほど前に,循環器内科の後期研修医として市中病院に勤務していた筆者が国内の肺高血圧症専門施設に国内留学が決定したときの最初の感想です.筆者の知識不足を差し引いても,当時は地域の基幹病院であっても,肺高血圧症の治療はおろか,初診時に現在ほどに肺高血圧症を鑑別疾患として念頭においていたかは定かではないと考えます.疾患概念の浸透が広く達成されていない,現在ほどの治療手段がないなどが原因であり,一部の症例では専門施設への紹介時には重症化しており専門医の懸命な管理にもかかわらず残念な転帰となることがありました.

時が流れ,現在はその当時の筆者と同じくらいの年齢の先生から容易に肺高血圧症という言葉があがり,鑑別疾患や治療方法の議論も日常化しており,紹介症例も当時と比較すると軽症例が多く,早期診断の重要性を痛感しております.それに加え,この10年で治療薬剤の選択肢の増加,より洗練された薬剤使用方法の考案,カテーテル治療が必要な肺高血圧症での治療技術および安全性の進歩,他科および多職種との連携の強化など,飛躍的な疾患概念の普及や進歩があったことは周知であり,10年前に救命に至らなかった症例も現在では救えたのではないかと思うと形容し難い気分になります.

肺高血圧症は早期診断,早期介入がある程度達成され,治療の進歩もあり予後の改善が見込める疾患となりました.一方で,すべての症例で肺高血圧の離脱は達成されておらず,残存する症状などで生活の質を落としている場合もあり,さらなる進歩が求められております.

本誌が,エキスパートの先生方から肺高血圧症の最新の知見を提示いただくことで,実地医療におけるさらなる疾患概念の普及を達成し,一人でも多くが肺高血圧症の苦しみから解放されるための一助になることを祈念しております.


皆月 隼
東京大学医学部附属病院循環器内科

目次

【特集】

扉……皆月 隼

座談会 肺高血圧症─血行動態の改善からQOLの改善にむけて

出席者:松原広己・小野文明・皆月 隼・須永眞司

総説 肺高血圧症とは?

肺高血圧症の歩み─歴史から最新の分類,病態まで─……波多野 将

肺高血圧症の早期診断と鑑別のポイント─センター化の意義― ……足立史郎6

セミナー 病態から肺高血圧を読み解く─実地診療での診断向上にむけて─

特発性/遺伝性/薬物・毒物誘発性肺高血圧症……平出貴裕

膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症……守谷 悠ほか

門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症……厚川正則ほか

先天性シャント性疾患に伴う肺高血圧症……相馬 桂

左心疾患に伴う肺高血圧症の診断と治療……杉村宏一郎

肺疾患に伴う肺高血圧症……坂尾誠一郎

希少な肺高血圧症(静脈閉塞症/肺毛細血管腫症,PTTM,PPS)……土肥由裕

肺高血圧症のカテーテル検査の実際……牧 尚孝

心エコーから迫る肺高血圧症……中西弘毅

トピックス

肺高血圧症における遺伝学的検査・遺伝カウンセリングの現状と課題……片岡雅晴

精神疾患に潜む肺高血圧症……皆月 隼

治療 達人にきく最新の治療─血行動態の改善からQOLの改善を目指して─

upfront combination therapyを含めた多剤併用療法と初期単剤療法……岡田寛史ほか

プロスタグランジン製剤……赤木 達

エンドセリン受容体拮抗薬……谷口 悠

ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬,可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬……細川和也

慢性血栓塞栓性肺高血圧症の診断と最新の治療戦略……山下 淳

QOL改善を意識した治療……伊波 巧

肺移植(適応・成績)……佐藤雅昭

この症例から何を学ぶか

他院(他科)との連携により早期診断に至り,肺高血圧症の改善を認めた1例……石井 聡

Self–assessment test

【連載】

One Point Advice

肺炎像は必ずしも感染ではない……皿谷 健

ベストな体重はどのくらいでしたか?……脇 裕典

“叱るべきこと”と“然るべきこと”……平井郁仁

次世代シーケンサーを活用したレンサ球菌の分子解析……高橋 孝

ビタミンB12欠乏症に対するビタミンB12投与……野村幸世

臨床研究にチャレンジ!……神田英一郎

尿閉時のPSA上昇は当たり前であるが......……伊藤一人

まず聴診から……阿部幸雄

今月の話題

サル痘(2023年1月1日現在)─正しい知識を身につけ,正しく恐れる─……石金正裕

知っておきたいこと ア・ラ・カルト

慢性疲労症候群……山口浩二ほか

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書籍情報

  • ISBN:9784011304005
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2023年5月
  • 電子版発売日:2023年5月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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