【第1特集 “with NEO” Update】時間軸でわかる！まるごと先天性心疾患　胎児期から成人期まで

周産期に関わる医師や看護師の多くは、先天性心疾患の赤ちゃんのケアや治療についてよく理解していますが、自分の守備範囲以外の経過は知らないことが多いのではないでしょうか？　どうしてもNICU 卒業でいったん区切りの心境になりますが、家族や赤ちゃんにとってそこはあらたなスタート地点です。心臓病を持つお子さんは長期療養や入退院を繰り返すことがあるため、あらかじめ家族のサポートが必要になることを知っておくと、家族は先を見据えた準備ができます。

また、心臓病のお子さんの思春期や成人への移行期に、不整脈などの遠隔期合併症、運動制限、出産、育児などの問題を抱えることがあり、先の経過を知っておくことで、家族の不安を軽減するような関わりができると思います。

本特集では、代表的な先天性心疾患の胎児期から成人期までの流れを時間軸に沿って分かりやすく解説し、さらに家族への説明内容についても触れました。わが国の小児循環器学の礎を築かれた故高尾篤良先生は、かつて受精卵、胚の発達から高齢期まで、心臓病のお子さんの身体面だけでなく心理面での発達をも包括した「発達心臓病学」を提唱されました。この「発達心臓病学」の精神に学び、本特集が先を見越したNICU での時間につながることを願っています。

プランナー
東邦大学医療センター大森病院新生児科准教授
増本健一

【第2特集　NEO Speciality】家族への寄り添い方がわかる 赤ちゃんのエンドオブライフ ケア・グリーフケアQ＆A

新生児医療は長足の進歩によって、かつては救えなかった多くの赤ちゃんたちを救命することができるようになりました。

しかし、その一方で現在も早期の死を余儀なくされる赤ちゃんたちが存在するのも事実です。このようなエンドオブライフを過ごす赤ちゃんと家族にとっては、残された大切な時間を悔いなく豊かに過ごせるための全人的ケアが大切になります。さらに、赤ちゃんと死別した遺族が経験する悲しみは深く、その後の生活にも大きな影響を与えます。そのため、赤ちゃんを亡くした遺族のニーズに見合った、多様で継続したケアやサポートを必要とすることが少なくありません。

本特集では、NICU で死が避けられない赤ちゃんとその家族のために、積極的にエンドオブライフケアやグリーフケアを実践している施設の具体的な取り組みをQ＆A の形で紹介しています。本特集が新生児領域におけるこれらのケアやサポートのあり方を考える一助となりましたら幸いです。

プランナー
大阪市立総合医療センター緩和医療科部長、緩和ケアセンター長
多田羅竜平