医学のあゆみ276巻2号 IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2021年1月
  • 電子版発売日 : 2021年8月25日
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商品情報

内容

IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態
企画:川 茂幸(松本歯科大学歯学部内科学)

・IgG4関連疾患はわが国より発信された新しい疾患概念で,現在,全世界で多くの研究者が精力的に研究を進めている.自己免疫性膵炎とIgG4との関連,全身性病変との関連の発見が本疾患の疾患概念確立の端緒となった.
・IgG4関連疾患は諸臓器に分布し,全体像が明らかではないので詳細な疫学は不明である.自己免疫性膵炎の最新の疫学情報ならびにこれから推測されるIgG4関連疾患の疫学は本症の病態理解に大きく寄与すると考えられる.
・発生機序の解明に関して新規抗原の発見など進歩が著しい.また,精力的に自然免疫系の検討がされ,IgG4上昇機序などが明らかになってきた.これらが発生機序の全容解明への有力な道筋を示すことを期待したい.

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序文

はじめに

IgG4関連疾患はわが国より発信された新しい疾患概念で,現在,全世界で多くの研究者が精力的に研究を進めている.自己免疫性膵炎とIgG4との関連1),全身性病変との関連2)の発見が本疾患の疾患概念確立の端緒となった3).そして今日,新たな病態が次々と解明されてきて,本疾患の臨床に有用な情報を提供している4).本稿では,すばらしい業績を世界に発信されてきた先生方に,最新のトピックスを解説していただいた.

全世界の研究者がIgG4関連疾患研究に参画するようになり,わが国と海外で,はたして同じ病態を検討しているのか,という新たな問題が生じてきた.わが国では,自己免疫性膵炎の診断にはIgG4高値と膵管のびまん性不整狭細像が必須であり,非常に均一な患者集団が形成されていた.IgG4関連疾患の診断基準の基本構造も同様であり,現在,改訂作業が進められている.しかし,海外では明確な診断基準は存在せず,IgG4陽性形質細胞浸潤という,他の病態でも認められる病理所見をもとに診断されていることが多く,雑多な患者集団を包括しているのではないかと懸念されていた.2019年に,Stoneらによりclassification criteriaが提唱され5),全世界で確実な症例のみを診断可能となってきた.

IgG4関連疾患は全身諸臓器に分布し,その全体像が明らかではないので詳細な疫学は不明である.一方,診断基準が確立されている自己免疫性膵炎では,過去に詳細な疫学調査が施行されてきている.自己免疫性膵炎の最新の疫学情報ならびにこれから推測されるIgG4関連疾患の疫学は本症の病態理解に大きく寄与すると考えられる.

IgG4関連疾患は当初,急性期の可逆性の病態と考えられ,ステロイド治療が奏効し,機能,画像・病理所見が正常化すると考えられていた.しかし,長期経過で自己免疫性膵炎,涙腺・唾液腺炎,腎病変では不可逆的変化が生じることが明らかになってきた.これら長期経過の病態の変化に基づき再燃予防,ステロイド投与方法の工夫など,治療戦略の転換が求められている.

IgG4関連疾患の発生機序の解明に関して新規抗原の発見など進歩が著しい.また,精力的に自然免疫系の検討がされ,IgG4上昇機序などが明らかになってきた.これらが発生機序の全容解明への有力な道筋を示してくれることを期待したい.

文献

1)Hamano H et al. N Engl J Med 2001;344;732-8.

2)Hamano H et al. Lancet 2002;359;1403-4.

3)Kawa S. JMA J 2019;2;11-27.

4)岡崎和一,川 茂幸(編集).最新 IgG4関連疾患 改訂第2版.診断と治療社;2019.

5)Wallace ZS et al. Arthritis Rheumatol 2020;72:7-19.


川 茂幸(松本歯科大学歯学部内科学)

目次

特集

IgG4関連疾患包括診断基準と国際IgG4-RD分類基準……梅原久範・他

全国調査からみた自己免疫性膵炎の現況……菊田和宏・正宗淳

自己免疫性膵炎の長期経過……渡邉貴之・川茂幸

IgG4関連腎臓病の長期経過……川野充弘・水島伊知郎

IgG4関連涙腺・唾液腺炎の長期経過……高橋裕樹

IgG4関連疾患――長期経過と画像所見……藤永康成

IgG4関連疾患の消退像――実症例に基づく病理学的考察……能登原憲司・檜垣浩一

IgG4関連疾患の長期経過における治療戦略……岡崎和一

IgG4関連疾患と免疫異常――とくに自然免疫系について……渡邉智裕・工藤正俊

TOPICS

【医用工学・医療情報学】

プロジェクションマッピング技術を応用した手術ガイドシステム“MIPS”の開発……瀬尾智 

【免疫学】

FROUNTは免疫チェックポイント阻害薬の障壁となるがん促進マクロファージを制御する――古い薬が新たながん免疫療法の扉を拓いた……寺島裕也・遠田悦子 

【脳神経外科学】

von Hippel-Lindau病の脳神経外科領域における最新知識……高柳俊作・他 

連載

【臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学】

16.腸内細菌叢とマルチオミクス解析……加藤完 

【バイオミメティクス(生体模倣技術)の医療への応用】

12.ムラサキイガイの接着官能基を利用した水中接着剤と表面機能材料……高原淳 

フォーラム

医師の働き方改革への患者の意識改革――示された応招義務への新たな見解……山口育子

【パリから見えるこの世界】

98.免疫の形而上学,あるいはスピノザと共に考える……矢倉英隆 

【天才の精神分析――病跡学(パトグラフィ)への誘い】

10.庄野潤三と暦時間――健康を考える病跡学……杉林稔

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書籍情報

  • ISBN:9784006027602
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2021年1月
  • 電子版発売日:2021年8月25日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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