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- 病理と臨床 2022年5月号(40巻5号)ICCRと日本病理学会~世界の動向と日本の病理診断と報告様式の在り方
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序文
特集
ICCRと日本病理学会―世界の動向と日本の病理診断と報告様式の在り方―
医療・技術の長足の進歩により,病理診断およびその報告書の在り方も変わりつつある.国際的には病理診断に必要な病理組織分類としてWHO腫瘍組織分類が,また患者のステージングに関してはUICC-TNM分類またはAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)TNM 分類および我が国では各種癌取扱い規約が存在し,その整合性に関しても問題となっている.そのため日本病理学会では,我が国の複数の癌取扱い規約の記載法を揃えるために,2019年,日本癌治療学会との共同で「領域横断的がん取扱い規約」第1版を出版した.
また日本病理学会は,病理レポートに関する国際的な活動として,昨年度からInternationalCommittee on Cancer Reporting(ICCR)に参加し,そのデータセットの制作にもかかわっている.2021年春の第110回日本病理学会総会では,北川昌伸会長のもとに,日本病理学会におけるICCRの活動に関する情報を共有するためにシンポジウムを開かせていただいた.しかし,ICCR の活動内容は十分に日本病理学会の会員の先生方に伝わっているとはいえない.
そこで,本企画では以下を目標とした.
1. 日本病理学会の会員へICCRの全体像を伝える.
2. ICCRが計画している病理レポートにかかわる組織と方向性について伝える.
3. ICCRに対して日本病理学会および日本の病理医がどのような立場をとるのかを考える場(情報)を提供する.
上記のシンポジウムにおいては,「ICCR チェックリストの導入は病理学会や会員にどのようなメリットがあるのか,日本の臨床腫瘍学への影響はどうなるのか,といった説明がないまま,日本病理学会が突き進まないようにしていただきたい」とのご意見もあった.確かに,ICCR の良い側面を国内に反映させようとするのであれば,最も影響を受けるであろう臨床腫瘍学分野の臨床学会など,他学会からの理解と協力を得るための働きかけが必要と思われる.
本特集では併せて,海外で活躍中の病理医の先生にお願いして,海外における病理診断報告の現状や,その在り方についての情報や考え方をいただくとともに,病理のエビデンスを構築していくためにあるべき病理レポートの姿をどのように考えるのかについても加えた.また,日本病理学会とICCRとの関係および我が国における病理報告書の在り方に関して,本特集の執筆者に参加していただき座談会を開催した.そこで交わされた議論の内容から,これからの病理報告様式の在り方を考えるための情報を提供したい.
落合淳志 [国立がん研究センター先端医療開発センター]
渡邊麗子 [国立がん研究センター東病院 病理・臨床検査科]
目次
【特集】
[座談会]
これからの日本の病理診断報告の在り方について
落合淳志,渡邊麗子,小嶋基寛,森井英一,都築豊徳,森谷卓也
病理診断と報告書をめぐる国際的な動向……落合淳志
ICCRの組織と活動……都築豊徳
ICCR Dataset Steering Committee(DSC)の活動とWHO Blue Book第5版(BB5)との連携……渡邊麗子
[ICCRへ参加して]
乳腺におけるICCRへの参加の経験……森谷卓也
消化管(大腸)におけるICCRへの参加の経験……小嶋基寛 他
アメリカでの病理診断報告書―ICCRデータセットとの比較―……三野眞里
癌取扱い規約,領域横断的がん取扱い規約とICCR―日本病理学会のかかわり方と将来―……渡邊麗子
Evidence-based Pathology(EBP)を目指して……落合淳志
【連載】
マクロクイズ[157]
沼倉里枝 他
鑑別の森[8]
術中迅速診断での反応性グリア増殖と低異型度星細胞腫
Answer 1:黒瀬 顕
Answer 2:横尾英明
若手病理医のためのキャリアパス講座[6]
病理から見た霞が関(1):厚労省医系技官のキャリア……明神大也
【今月の話題】
新型コロナパンデミック下における医学生の国際的学術交流―病理医としての試み―……大江知里
【Information】
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書籍情報
- ISBN:9784011204005
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2022年5月
- 電子版発売日:2022年5月11日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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