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- 病理と臨床 2022年8月号(40巻8号)非腫瘍性肝疾患~肝生検診断のポイント
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序文
特集:非腫瘍性肝疾患―肝生検診断のポイント―
従来,肝生検の主たる疾患対象は肝炎ウイルス関連の肝炎・肝硬変であったが,直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によるウイルス学的持続陰性化(SVR)が達成され,肝炎ウイルス患者の肝生検症例も減少した.一方で,近年,自己免疫や生活習慣病に関連した肝疾患,抗がん薬や免疫チェックポイント阻害薬を含めた薬物起因性の肝障害など新たな疾患・病態の存在が明らかとなり,一般病理医にも多岐にわたる肝疾患の鑑別が要求されるようになった.また非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や薬物性肝障害など日常的に高頻度で遭遇する疾患に,他の肝疾患が併存するオーバーラップも稀ではなく,個々の症例に対する肝生検の重要性が増すとともに,診断に難渋する症例も多い.
本特集では,盲目的肝針生検の対象となる非腫瘍性肝疾患のうち,病理診断がその後の治療方針決定に重大な影響を与える症例や病態を取り上げた.まず,急性発症やIgG4関連など,多彩な病態の存在が明らかとなってきた自己免疫性肝炎について概説し,他疾患とのオーバーラップを含めた病態についても紹介する.従来から抗核抗体陽性のNAFLDは知られていたが,自己免疫性肝炎がオーバーラップしている症例もあり,これらの病態の考え方,診断のポイントについても紹介する.また,診断の際に必ず鑑別疾患として念頭に置くべき薬物性肝障害の診断の現状に加え,免疫チェックポイント阻害薬によるirAE 関連肝障害についても最近の病理学的知見について紹介する.さらには,肝移植症例の蓄積とともに遭遇する機会が増えてきた移植関連の肝病態について,拒絶,原疾患の再発,薬物性などの鑑別を中心に紹介する.肉芽腫性病変では,疾患特異性は低いものの,特異的な免疫現象に起因して発生すると考えられ,肝に肉芽腫性病変をみた場合の原疾患へのアプローチについて解説する.そして,AYA 世代の原因不明の肝障害で肝生検が施行される症例における鑑別すべき小児肝疾患について紹介し,診断のポイントを解説する.また,画像的にびまん性または結節性の病変として描出される血流異常に起因する肝病態について概説し,肝生検診断時の注目すべき所見を紹介する.最後に,腸炎や寄生虫などの腸管疾患患者で出現する肝胆道病変について解説する.
執筆は,本邦において各疾患に造詣の深いエキスパートの先生方にお願いした.本特集が,肝生検による原疾患診断の需要が高まっている非腫瘍性肝疾患への理解を深めていただく機会となり,日常診断の一助となるような情報をご提供できれば幸いである.
相島慎一 [佐賀大学医学部 病因病態科学 診断病理学]
原田憲一 [金沢大学医薬保健研究域医学系 人体病理学]
目次
【特集】
自己免疫性肝炎と周辺疾患……常山幸一 他
脂肪性肝疾患と自己免疫性肝疾患のオーバーラップ……伊倉義弘
薬物性肝障害……吉村かおり 他
移植関連の肝炎……羽賀博典
肉芽腫性肝疾患……小無田美菜
AYA世代に見つかる小児肝疾患……草野弘宣 他
血流異常に起因する肝病態……佐藤保則 他
消化管病変に関連する肝胆道病変……相島慎一
【連載】
マクロクイズ[160]……沼倉里枝 他
鑑別の森[11]皮膚の毛芽腫と基底細胞癌
Answer 1:清水道生
Answer 2:石河 晃
若手病理医のためのキャリアパス講座[9]
病理学から法医学へ……武内康雄
【今月の話題】
Covid-19と胎盤病理……佐藤勇一郎
単クローン性免疫グロブリンの沈着が関連した腎疾患……清水 章
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書籍情報
- ISBN:9784011204008
- ページ数:92頁
- 書籍発行日:2022年8月
- 電子版発売日:2022年8月10日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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