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- 医学のあゆみ274巻8号 急速に変わる緩和ケア―薬物療法の進歩からアドバンスケアプランニングまで
商品情報
内容
企画:森田達也(聖隷三方原病院副院長,同緩和支持治療科)
・症状緩和を越えて緩和ケアをとらえなおそうという試みとして意思決定過程,とくに,諸外国で制度化されたアドバンスディレクティブからの流れをくむアドバンスケアプランニングがある.
・がん患者での診断時早期から緩和ケアを提供しようという流れ,心不全患者に緩和ケアを提供しようという流れ,そして,安楽死や自殺幇助の枠組みのなかで緩和ケアの役割をどこに位置づけるかといった領域がある.
・本特集では,それぞれの領域のまさに先端を現場から紹介し,緩和ケアの多様な方向性を伝えることができれば幸いである.
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序文
はじめに
世の中の変わるスピードはしばしば予想を超える.少年時代に見た漫画のように車は空を飛んではいないが,スマートフォンの出現は人のありかたを根本から変えようとしている.
緩和ケアは,中世ヨーロッパのホスピスに出自を持ち,社会的に冷遇されている人に対して人としての尊厳をとりもどそうとする働きから生まれてきた.1980年前後から,医学のパラダイムに緩和ケアが組み込まれるに合わせて,緩和ケアの変化も急激である(“進歩”と書かずに,“変化”と書くところが,ミソである).
本特集では,近年の緩和ケアの変化がわかりやすい領域として,WHOがん疼痛ガイドラインの改訂,次々に登場する症状緩和治療薬をまずあげた.WHOが1986年に『Cancer Pain Relief』を出版してからすでに30年,内容もさることながらそのスタイルが一新されたことに驚きを感じる(いいか悪いかはわからない).がんだけではなく,非がん患者において最も苦労する呼吸困難の領域では,疾患概念がchronic breathlessness syndrome(邦訳として定まったものはない)と提案され,モルヒネが世界ではじめてオーストラリアで保険適用を取得した(にもかかわらず,実証研究では効果が示せないものが相次いでいるのも興味深い).症状緩和を越えて緩和ケアをとらえなおそうという試みとして意思決定過程,とくに,諸外国で制度化されたアドバンスディレクティブからの流れをくむアドバンスケアプランニングがある(国内での議論の混沌は,国際的な文脈を理解することでより咀嚼しやすくなると筆者は感じる).緩和ケアの左右前後への(どっちを向いているかわからない)広がりとして,がん患者での(終末期だけでなく)診断時早期から緩和ケアを提供しようという流れ,(がん患者だけでなく)心不全患者に緩和ケアを提供しようという流れ,そして,安楽死や自殺幇助の枠組みのなかで緩和ケアの役割をどこに位置づけるかといった領域がある.
本特集では,それぞれの領域のまさに先端を現場から紹介し,緩和ケアの多様な方向性を伝えることができれば幸いである.
森田達也(聖隷三方原病院副院長,同緩和支持治療科)
目次
特集 急速に変わる緩和ケア─ 薬物療法の進歩からアドバンスケアプランニングまで
変わるがん疼痛の治療――WHOがん疼痛ガイドラインの改訂を中心に……石木寛人
がん疼痛に対する新規治療薬……武井大輔・余宮きのみ
呼吸困難の緩和治療――モルヒネは本当に効くのか……山口崇
アドバンスケアプランニング――本当の意味……森雅紀
診断時からの緩和ケア――本当の意味……堀江良樹
心不全の緩和ケア――今わかっていること,そしてこれから……岡村知直
安楽死・自殺幇助と緩和ケアの接点……森田達也
TOPICS
【病理学】
ヒトが進化の過程で失った異種糖鎖Neu5Gcと動脈硬化との関連……川西邦夫
【医用工学・医療情報学】
新型コロナウイルス感染症感染拡大を経たオンライン診療の提供価値の変化……原聖吾
【遺伝・ゲノム学】
日本人におけるアルツハイマー病感受性遺伝子……宮下哲典・他
連載
【再生医療はどこまで進んだか】
11.臨床応用をめざすヒューマンオルガノイド研究……髙山真秀・他
【臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学】
4.T細胞機能と細胞内エネルギー代謝……山下政克
フォーラム
リワークプログラム……五十嵐良雄
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書籍情報
- ISBN:9784006027408
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2020年8月
- 電子版発売日:2021年11月19日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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