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- 医学のあゆみ286巻7・8号 がんオルガノイド―創薬・個別化医療の革新的プレクリニカルモデルとして
商品情報
内容
・がんに対する創薬研究として新たな分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が開発されているが，難治性がんに対する効果は限定的で，各患者に最適な薬剤を選択し治療を行う個別化医療の確立が期待される．
・個別化医療の革新的なプレクリニカルモデルとして登場したオルガノイドは，元の腫瘍の形態や特性を忠実に反映し，患者腫瘍のアバター（分身）として，腫瘍の特徴や薬剤感受性などのさまざまな情報を提供してくれる．
・本特集では，患者由来の腫瘍組織を用いて樹立されたオルガノイドを用いた創薬研究，個別化医療の現状や課題，将来的な展望について，各臓器別にがんオルガノイドのエキスパートが最新知見を概説している．
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序文
はじめに
がんに対する創薬研究はめざましい進歩を続けており，新たな分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などが次々に開発されているが，特に難治性がんに対してはいまだにその効果は限定的である．抗がん剤の効果は個々の患者で異なるため，それぞれの患者に最適な薬剤を選択して治療を行う個別化医療の確立が期待されている．候補の薬剤を実際の患者に試験的に投与することは許容されないため，患者の体外で薬剤の効果などを評価する技術が望まれていた．
そこで個別化医療の革新的なプレクリニカルモデルとして注目されているのがオルガノイドである．患者由来の腫瘍組織を用いて樹立されたオルガノイドは，元の腫瘍の形態や特性を忠実に反映している．オルガノイドは患者腫瘍のアバター（分身）として，腫瘍の特徴や薬剤感受性などのさまざまな情報を提供してくれるため，個別化医療を強力に推進するための切り札になると考えている．
一方で，がんオルガノイドを用いた個別化医療を実現するために克服すべき課題も残されている．がん腫によっては，オルガノイドの樹立成功率が低いため，さまざまな工夫をして成功率を向上させる必要がある．また，免疫チェックポイント阻害薬などのがん免疫療法が注目されているが，免疫チェックポイント阻害薬などの薬効を評価できるように，がんオルガノイドとT 細胞を含む免疫細胞や線維芽細胞などの間質細胞を共培養することで腫瘍微小環境を再現することは避けて通れない課題であろう．
本特集では，がんオルガノイドを用いた創薬研究，個別化医療の現状や課題，将来的な展望について，各臓器別にがんオルガノイドのエキスパートに概説していただく．本特集をきっかけとしてがんオルガノイドを用いた病態解析や創薬研究が一歩でも進展し，特に難治性がん患者の個別化医療の実現に少しでもつながれば幸いである．
企画：齋藤義正（慶應義塾大学薬学部薬物治療学講座）
目次
特集 がんオルガノイド─ 創薬・個別化医療の革新的プレクリニカルモデルとして
はじめに 齋藤義正
脳腫瘍研究におけるオルガノイドモデルの現状と今後の可能性 山﨑慎太郎・他
甲状腺がん患者由来オルガノイドの樹立 星野大輔・齋藤菜緒
患者由来肺がんオルガノイドの研究利用と臨床応用 高岡初誉・安田浩之
がん細胞とがん関連線維芽細胞（CAF）を用いた混合乳がんオルガノイド 竹内康人・後藤典子
胃がん，大腸がん 坂本直也
胆道・膵臓がんオルガノイドを用いた個別化医療の実現に向けて 齋藤義正
神経内分泌腫瘍オルガノイド，樹立とその応用 川﨑健太
患者由来オルガノイドを用いた婦人科がんの橋渡し研究 丸 喜明・筆宝義隆
連載
救急で出会ったこんな症例 ─ マイナーエマージェンシー対応のススメ15
切迫骨折という言葉を知っていますか？─ 見落とせない四肢転移性骨腫瘍による切迫骨折
檜山秀平・松村福広
医療システムの質・効率・公正 ─ 医療経済学の新たな展開❼
DPCデータと包括評価制度 ─ これまでとこれから
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脱ストレスによるミクログリア抑制作用
洲鎌秀永
免疫学
免疫抑制性PD－1アゴニスト抗体による炎症性疾患の制御
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FORUM
数理で理解する発がん❷
確率論の基礎・初等確率
中林 潤
後悔しない医学英語論文の投稿に向けて ─ Editorの視点から❹
論文の門前払い（トリアージ）を避けるには？
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書評
『在宅ケアの悩みごと解決マップ─ ケースで現場の問題「見える化」します』
（堂囿俊彦・角田ますみ・北西史直・中村美智太郎 編著）
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書籍情報
- ISBN：9784006028607
- ページ数：70頁
- 書籍発行日：2023年8月
- 電子版発売日：2023年8月7日
- 判：B5判
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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