医学のあゆみ268巻3号 自閉症学――自閉症・発達障害の病態解明に向けて

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2019年1月
  • 電子版発売日 : 2023年2月1日
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商品情報

内容

自閉症学―自閉症・発達障害の病態解明に向けて
企画:内匠 透(理化学研究所脳神経科学研究センター精神生物学チーム)

・自閉症は正式には自閉スペクトラム症(ASD)とよばれ,社会性の問題を主症状とする多彩な精神疾患で,脳の発達障害である.発症率は増加の一途のたどり,少子化に悩む先進国にとっては大きな社会問題でもある.
・自閉症の治療法には療育以外に確固たるものが存在しないが,臨床トピックスとして,オキシトシン療法の可能性のほか,注意欠如・多動症(ADHD)を例に発達障害において発達軌道を追う重要性を紹介いただく.
・“自閉症学”ともよべる新学術領域は,人文社会学・心理学から脳科学・人工知能(AI)まで幅広い分野をカバーするが,本特集では基礎・臨床医学両方の観点からの生物学的アプローチを中心に解説いただく.

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序文

はじめに

自閉症は正式には自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)とよばれ,社会性の問題を主症状とする多彩な精神疾患で,脳の発達障害である.発症率は増加の一途のたどり,少子化に悩む先進国にとっては大きな社会問題でもある.医学・生物学研究の進歩とともに,21 世紀に入ってから急速に発展した自閉症研究は,今や精神疾患研究をリードするといっても過言ではない.“自閉症学”ともよべる新学術領域は,人文社会学・心理学から脳科学・人工知能(AI)まで幅広い分野をカバーするが,本特集では基礎・臨床医学両方の観点からの生物学的アプローチを中心に紹介する.

自閉症研究が精神疾患研究のなかで最近最も進歩したといえるのは,ヒト遺伝学的研究の成果によるところが大きい.小川・尾崎(名古屋大学)はヒト遺伝学解析とともに臨床で必要とされる患者・家族支援まで解説する.もちろん,ゲノムのみならず多くの疾患にエピゲノムが関与する.木村ら(東北大学)は両親の環境要因の観点から配偶子エピゲノムとの関係を紹介する.自閉症の病態解明や治療法の開発のためには,疾患モデルの解析が必須である.野村・内匠(理化学研究所)はiPS 細胞やオルガノイドを用いたin vitro モデル,仲西・内匠(理化学研究所)はマウスモデルの研究を提示する.自閉症の病態を理解するうえでのトピックスとして,松﨑(福井大学)は酸化ストレスやミトコンドリアに関わるエネルギー代謝を,山内ら(奈良県立医科大学)はミクログリアを含む炎症との関連を議論する.現時点での自閉症の治療法には療育以外に確固たるものが存在しないが,山末(浜松医科大学)はオキシトシン療法の可能性を紹介する.臨床トピックスとして,黒木(九州大学)は注意欠如・多動症(ADHD)を例に発達障害において発達軌道を追う重要性を解く.

本特集で取り上げたトピックスは,自閉症研究のごく一部である.自閉症の患者が問題と強く感じているのは感覚系の問題(過敏・鈍麻)であり,新しい診断基準(DSM-5)にも取り入れられ,生物学的アプローチが可能な表現型である.また睡眠障害・胃腸障害は自閉症に頻繁にみられる症状であり,概日リズムやセロトニンなどのモノアミン神経との関係,腸内フローラを含む脳腸相関は注目すべき領域である.自閉症モデルに関しても,ゲノム編集技術を利用した細胞モデル研究や霊長類モデル研究からは目が離せない.いま流行りのAI は診断のみならず,新規治療法開発への可能性を秘めている.

これらの多様な研究動向を共用する研究会(自閉症学研究会;JCAR)を立ち上げた.臨床に出発点と到達点を置き,その過程を生物学的に,そして社会学も含めて統合的に解明することをめざす自閉症学研究会は,基礎・臨床両方に心地よい場をめざしている.

興味ある方は内匠(toru.takumi@riken.jp)まで連絡いただければ幸いです.


企画:内匠 透(理化学研究所脳神経科学研究センター精神生物学チーム)

目次

特集 自閉症学―自閉症・発達障害の病態解明に向けて

はじめに…内匠 透

自閉症を持つ子どもと大人のよりよい未来のために―ASDを高率に呈するゲノムバリアントに起因する疾患を中心に…小川しおり・尾崎紀夫

自閉スペクトラム症発症リスクとエピジェネティクス…木村龍一・他

自閉症フェノタイピングのためのin vitro基礎研究のトレンド…野村 淳・内匠 透

自閉症の動物モデル…仲西萌絵・内匠 透

自閉症のエネルギー代謝…松﨑秀夫

自閉スペクトラム症と免疫…山内崇平・他

自閉スペクトラム症に対するオキシトシン投与効果の検討における進展…山末英典

変貌する発達障害の概念―最近の臨床トピック…黒木俊秀

連載

【地域包括ケアシステムは機能するか❿】

母子保健で活きる,地域が主体の全世代型地域包括ケアシステム―名張版ネウボラ(妊娠・出産・育児の切れ目ない支援)からの挑戦…上田紀子

【医学・医療におけるシミュレータの進歩と普及❼】

新しい心臓病患者シミュレータ“イチロー君”―世界にはばたく“Simulator K”…髙階經和

TOPICS

【輸血学】

洗浄血小板―副作用のない輸血を求めて…石田 明

【アレルギー学】

IL‒によるアレルギー性気道炎症制御機構…伊藤 崇・他

【消化器内科学】

C型非代償性肝硬変に対するDAA治療…平松直樹

FORUM

【がん教育の現状と課題10】

これからの“がん教育”への期待…望月友美子

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書籍情報

  • ISBN:9784006026803
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2019年1月
  • 電子版発売日:2023年2月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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