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- 医学のあゆみ268巻2号 Gorlin症候群―発生から治療法まで
商品情報
内容
企画:藤井克則(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
・Gorlin症候群は,1960年に報告された高発癌性の神経皮膚症候群である.日本国内ではまだよく知られていない疾患かもしれないが,疾患背景には多くの生物学的に興味ある事実がある.
・本症候群の責任遺伝子がヘッジホッグ蛋白の受容体PTCH1であることが報告され,シグナル異常症として脚光を浴びた.現在,vismodegibをはじめ,この経路を標的とした治療が期待されている.
・本特集では,Gorlin症候群をめぐる数多くの話題に触れ,研究と臨床の第一線で活躍される先生方に,ヘッジホッグシグナルが生体に果たす役割を解説していただく.
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序文
はじめに
Gorlin症候群は1960年,GorlinとGoltzによって報告された高発癌性の神経皮膚症候群である.日本国内ではまだよく知られていない疾患かもしれないが,疾患背景には多くの生物学的に興味ある事実があるため,今回Gorlin症候群の企画を通じてその科学的意義を理解していただく機会とした.
Gorlin博士(1923~2006年)の人柄のよさとユーモアあふれる人間性はとみに有名であった.彼は当初病理を専攻したが,ほどなく形態形成学を専門とするようになった.類まれなる観察眼と小児患者の心を開く人間性は多くの逸話として語り継がれている.Gorlin博士は数多くの症候群を報告したが,なかでも1960年に『New England Journal of Medicine』誌に報告された基底細胞母斑症候群(basal cell nevus syndrome,後のGorlin症候群)は,彼が世に知らしめた代表的疾患として知られる.
1996年Gorlin症候群の責任遺伝子がヘッジホッグ蛋白の受容体PTCH1であることが『Science』誌と『Cell』誌に同時に報告されて,シグナル異常症として脚光を浴びることになった.この経路はリガンドのヘッジホッグ,受容体のPTCH1,隣接蛋白のSMO,転写因子のGLIからなる高度に保存された増殖経路であり,その異常は先天奇形症候群と腫瘍を発生させる.2012年に経路阻害薬のvismodegibがアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可されるに至り,この経路を標的とした治療が実践される時代になっている.
Gorlin博士は残念なことに2006年に83歳で他界されたが,Gorlin症候群に関わる知見は今なお一流誌に報告され,学問的興味は尽きることはない.本特集でGorlin症候群をめぐる数多くの話題に触れて,ヘッジホッグシグナルが生体に果たす役割を理解していただくとともに,本症候群を知る人が増えることを心より願っている.
企画:藤井克則(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
目次
特集 Gorlin 症候群―発生から治療法まで
Gorlin症候群の歴史 塩浜直
Gorlin症候群とヘッジホッグシグナル 内田智子
Gorlin 症候群の臨床症状──日本での調査を中心に 内川英紀
Gorlin症候群の遺伝子診断 宮下俊之・高山吉永
Gorlin症候群とiPS細胞 池原甫
Gorlin症候群と骨代謝 高谷具純
放射線による髄芽腫発生とヘッジホッグシグナル経路 鶴岡千鶴・島田義也
Gorlin症候群の治療・診療 青山弘美
連載
地域包括ケアシステムは機能するか❾
医療行政が推進する地域包括ケアシステム 木全真理・飯島勝矢
医学・医療におけるシミュレータの進歩と普及❻
心臓病患者シミュレータ“ハーヴェイ君”― 世界初の心臓病患者マネキン 髙階經和
TOPICS
再生医学
多能性幹細胞を用いた腎臓再生 髙村 毅・横尾 隆
免疫学
非古典的単球の生存を制御する転写因子C/EBPβ 平位秀世
消化器内科学
肝細胞癌の薬物療法 工藤正俊
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当直医マニュアルの30 年 小畑達郎×近藤克則×小松孝充×箕輪良行
パリから見えるこの世界 75
シンポジウム「医学における人間」で,現代医学の課題を考える 矢倉英隆
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書籍情報
- ISBN:9784006026802
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2019年1月
- 電子版発売日:2023年2月1日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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