医学のあゆみ265巻10号 喫煙関連疾患-予防と治療の最前線

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2018年6月
  • 電子版発売日 : 2023年7月5日
¥1,430(税込)
ポイント : 26 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

喫煙関連疾患-予防と治療の最前線
藤原 久義(兵庫県立尼崎総合医療センター名誉院長)

 わが国の喫煙者は約2千万人,喫煙による死者は13万人/年,受動喫煙による死者は1万5千人/年と膨大で,喫煙による健康被害とタバコ関連火災の被害合計はタバコの税収の約3倍である.世界保健機構(WHO)や国際オリンピック協会(IOC)は,飲食店などのサービス産業を含むすべての屋内施設を全面禁煙とする罰則付き法規制をわが国に要請している.わが国も加盟している“たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)”でも,同様の受動喫煙防止の法的規制に加えて,広告禁止という強い規制を要求している.(序文より一部抜粋)

≫ 「医学のあゆみ」最新号・バックナンバーはこちら

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

はじめに


『医学のあゆみ』の編集者から,“喫煙関連疾患―予防と治療の最前線”というテーマで特集を組むようにとの依頼を受けた.①喫煙の予防,②喫煙者の治療,③喫煙の健康被害に加えて,最近のトピックスの④非燃焼性加熱式たばこと,⑤喫煙の遠隔診療の5つの分野について,各分野の専門家に執筆を依頼した.興味ある特集が組めたと思う.

次に,通常の健康・医療問題ではありえないタバコ特有の問題について触れて巻頭言とさせていただく.


なぜ,わが国では受動喫煙やタバコ広告に対する国際スタンダードの法的規制ができないのか
―国家政策の分裂

わが国の喫煙者は約2千万人,喫煙による死者は13万人╱年,受動喫煙による死者は1万5千人╱年と膨大で,喫煙による健康被害とタバコ関連火災の被害合計はタバコの税収の約3倍である.世界保健機構(WHO)や国際オリンピック協会(IOC)は,飲食店などのサービス産業を含むすべての屋内施設を全面禁煙とする罰則付き法規制をわが国に要請している.わが国も加盟している“たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)”でも,同様の受動喫煙防止の法的規制に加えて,広告禁止という強い規制を要求している.

しかしわが国のタバコ規制の現状は,受動喫煙防止法・条例ならびに広告についても世界最低国とされている.日本内科学会を含む26学会からなるわれわれ禁煙推進学術ネットワークは,「2020年東京オリンピック・パラリンピック成功のためには,室内全面禁煙と罰則付き東京都受動喫煙防止条例の制定が必須である」という要望書を国ならびに東京都などに繰り返し提出している.しかし最近の受動喫煙防止法についての厚労省案においても,官公庁病院学校を除き分煙,喫煙室設置可というのが現実である.“喫煙は病気,喫煙者は患者”で,喫煙は健康問題である.しかるに趣味嗜好・マナーの問題とする考え方が根強くある.その中核にあるのはタバコ問題に対する国家政策の分裂である.

厚生労働省や医療界などは,健康増進法,ニコチン依存症に対する保険診療,未成年者喫煙禁止法など,喫煙を健康問題とし,禁煙を推進している.一方,財務省は“たばこ事業法”,“日本たばこ産業株式会社(JT)法”,“たばこ耕作組合法”を根拠に,財務大臣がJTの株の約1╱3を所有,タバコの生産・販売を管理し,税収確保のためと称してタバコ産業を保護・育成している.当然,タバコの広告に関する所轄官庁も厚労省ではなく,財務省である.

欧米などではこのような国政の分裂はなく,国家は健康被害予防のために禁煙を推進し,一方,独立した民間のタバコ会社がタバコの生産・販売を行っている.国家によるタバコ産業の保護育成などありえない.すなわち喫煙問題の対立軸は欧米などの諸外国では“国・医療者”対“民間タバコ会社”であるが,わが国は“厚生労働省・医療界”対“財務省・JT”という構図になり,特異である.このため,受動喫煙防止法も広告規制も健康問題から趣味嗜好・マナーの問題にすり替えられ,国民はどちらを信頼すべきか迷うことになる.わが国のメディアにおいても同様である.

禁煙を推進し,国民の健康を守るためには,たばこ事業法などのタバコ保護法を廃止し,タバコの安全性や広告などの所轄官庁を財務省から厚労省に移すべきである.


藤原 久義
兵庫県立尼崎総合医療センター名誉院長

目次

特集 喫煙関連疾患-予防と治療の最前線

はじめに 藤原久義

喫煙の予防 加治正行

喫煙者の治療-禁煙保険治療の現状と展望 中村正和

【喫煙の健康被害:最新情報】

受動喫煙の健康被害 片野田耕太

癌患者の禁煙-癌診断時,治療時こそteachable moment である 川井治之

循環器疾患(不整脈・心不全を含む)と喫煙 野上昭彦

呼吸器疾患と喫煙 長瀬隆英

周術期禁煙の意義-手術を契機にした禁煙で人生が変わる 飯田宏樹

歯科・口腔疾患の喫煙患者対応 長尾 徹

新型(電子・加熱式)タバコとその対応 朔 啓二郎

禁煙支援における遠隔診療-情報通信機器を用いたオンライン診療 飯田真美

連載

Sustainable Development を目指した予防医学(10)

室内空気質由来の化学物質健康障害と環境改善型予防医学 中岡宏子

移行期医療-成人に達する/ 達した患者への医療(3)

小児慢性特定疾患児童成人移行期支援モデル事業 井田博幸

TOPICS

腎臓内科学 カリウムによる血圧調節機構 野村尚弘

糖尿病・内分泌代謝学 脂肪酸バランス異常と糖尿病 松坂 賢・島野 仁

臨床検査医学 血管内皮細胞アンカー蛋白GPIHBP1 に対する自己抗体による高トリグリセリド血症 村上正巳・中嶋克行

FORUM

Choosing Wisely キャンペーンとは(7) Polypharmacy2:診療所でのポリファーマシー対策 北 和也

パリから見えるこの世界(69) ハンス・ゲオルク・ガダマー,あるいは対話すること,理解すること 矢倉英隆

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:20.9MB以上(インストール時:44.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:83.6MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:20.9MB以上(インストール時:44.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:83.6MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784006026510
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2018年6月
  • 電子版発売日:2023年7月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。