医学のあゆみ264巻3号 Marfan症候群の診断と治療

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2018年1月
  • 電子版発売日 : 2023年8月8日
¥1,430(税込)
ポイント : 26 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

Marfan症候群の診断と治療
武田 憲文(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)

 Marfan症候群は,1896年にフランスの小児科医アントワーヌ・マルファン博士によって,手足が長く,指趾や関節が拘縮し,脊柱後側弯を患った5歳の少女がはじめて報告され,その後,水晶体亜脱臼,大動脈瘤・解離,常染色体優性遺伝形式などの表現型も併せもつ疾患群として確立した.1991年に主要な原因遺伝子であるFBN1遺伝子が同定され,弾性線維フィブリリン1をコードすることから,その構造破綻が全身の結合組織や血管の脆弱性を引き起こすと考えられてきた.一方で,フィブリリン1がトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)の活性調整を担うこと,2004年以降にはTGFβシグナル伝達因子(I,II型TGFβ受容体など)の異常でも同様の症候群(現在は,ロイス・ディーツ症候群と呼称される)が誘発されることなどが報告され,本症の病態の発症・進展に能動的なTGFβシグナルの活性化も関与していることが想定されているが,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ロサルタンなど)の効能が注目される現在でもその分子機序の詳細は明らかではない.(序文より一部抜粋)

≫ 「医学のあゆみ」最新号・バックナンバーはこちら

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

はじめに


Marfan症候群は,1896年にフランスの小児科医アントワーヌ・マルファン博士によって,手足が長く,指趾や関節が拘縮し,脊柱後側弯を患った5歳の少女がはじめて報告され,その後,水晶体亜脱臼,大動脈瘤・解離,常染色体優性遺伝形式などの表現型も併せもつ疾患群として確立した.1991年に主要な原因遺伝子であるFBN1遺伝子が同定され,弾性線維フィブリリン1をコードすることから,その構造破綻が全身の結合組織や血管の脆弱性を引き起こすと考えられてきた.一方で,フィブリリン1がトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)の活性調整を担うこと,2004年以降にはTGFβシグナル伝達因子(Ⅰ,Ⅱ型TGFβ受容体など)の異常でも同様の症候群(現在は,ロイス・ディーツ症候群と呼称される)が誘発されることなどが報告され,本症の病態の発症・進展に能動的なTGFβシグナルの活性化も関与していることが想定されているが,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ロサルタンなど)の効能が注目される現在でもその分子機序の詳細は明らかではない.

診断や治療の分野では,遺伝子診断や個別化医療を実現するための技術・システムの開発,外科的治療の発達などで生命予後は改善傾向にあり,とくに自己弁温存大動脈基部置換術は,結婚や妊娠を控えた女性に対して周産期の安全性を高める治療手段としておおいに期待されている.しかし,長寿化に伴って多系統の障害(多発動脈瘤・解離,側弯症など)が重症化して生活の質(QOL)が著しく低下した患者もめだってきており,一生涯にわたる全人的な医療の提供がますます重要な時代になったといえる.

東大病院・マルファン外来の診療を通じて,遺伝性大動脈瘤・解離が疑われる患者・家族には「治る病気ではないが,適切な管理を継続することで突然死や重症化を予防することが大切」である旨を繰り返し伝えている.本特集では,マルファン症候群をはじめとする遺伝性大動脈瘤・解離の診療に役立つ最新の知見や,実際の管理方法について,第一線の先生方にご執筆いただいた.まだまだ未知の部分が多い疾患群であるが,明日からの診療の一助となればと思い企画させていただいた.


武田 憲文
東京大学大学院医学系研究科循環器内科学

目次

特集 Marfan症候群の診断と治療

はじめに 武田憲文

Marfan症候群と類縁疾患の診断と管理-オーバービュー 武田憲文

小児期におけるMarfan症候群の診断・管理 犬塚 亮

Marfan症候群に対する外科治療 縄田 寛

Marfan症候群と類縁疾患のPrecision Medicine 山口智美・古庄知己

Marfan症候群における心血管合併症の発症メカニズム 八木宏樹・赤澤 宏

Marfan症候群における整形外科的特徴と管理 谷口優樹

Marfan症候群における眼科的問題点と管理 白矢智靖

Marfan症候群と類縁疾患の周産期管理 佐山晴亮・入山高行

連載

テレメディシン-遠隔医療の現状と課題(15)

医療における人工知能技術の応用 河添悦昌

救急医学-現状と課題(6)

高齢者救急の現状と課題-解決の糸口を求めて 小豆畑丈夫

TOPICS

腎臓内科学 新視点:腎臓の濾過・再吸収からみた糖尿病性腎症におけるアルブミン尿 森 慶太・森 潔

呼吸器内科学 粘液貯留を呈する新規の慢性閉塞性肺疾患(COPD)モデルマウス 首藤 剛

血液内科学 成体脾臓における髄外造血ニッチとその構成要素 小田朗永・後飯塚僚

FORUM

生殖倫理の現況と展望(13) 拡張する生殖医療に必要な倫理的視点とは何か 柘植あづみ

交通安全問題を自動車運転と疾患・認知機能との関係から考える(後編) 伊藤安海

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:29.4MB以上(インストール時:61.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:117.7MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:29.4MB以上(インストール時:61.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:117.7MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784006026403
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2018年1月
  • 電子版発売日:2023年8月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。