医学のあゆみ264巻4号 ライフコースの観点からみたコホート研究とその成果

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2018年1月
  • 電子版発売日 : 2023年8月8日
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内容

ライフコースの観点からみたコホート研究とその成果
磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室)

 世界的な高齢化少子化が進行するなか,人生の出発点から,死亡に至るまでの人生行路,すなわちライフコースである“胎児期”“幼少期”“思春期”“成人期”“高齢期”のなかで,各ステージにおける生活習慣や環境要因が,短期的・中期的・長期的に人の健康や生活に与える影響を,生物学的,行動科学的,心理社会学的観点から解明し,その研究成果を健康増進,望ましくない健康事象や疾病の予防,疾病の重症化予防などに役立てることが求められている.この研究手法をライフコースアプローチと称されるが,なかでもコホート研究はライフコースアプローチの主要な研究手法といえる.(序文より一部抜粋)

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序文

はじめに

世界的な高齢化少子化が進行するなか,人生の出発点から,死亡に至るまでの人生行路,すなわちライフコースである“胎児期”“幼少期”“思春期”“成人期”“高齢期”のなかで,各ステージにおける生活習慣や環境要因が,短期的・中期的・長期的に人の健康や生活に与える影響を,生物学的,行動科学的,心理社会学的観点から解明し,その研究成果を健康増進,望ましくない健康事象や疾病の予防,疾病の重症化予防などに役立てることが求められている.この研究手法をライフコースアプローチと称されるが,なかでもコホート研究はライフコースアプローチの主要な研究手法といえる.

ライフコースアプローチによるコホート研究は,理想的には,胎児期から高齢期に至るまでをひとつの研究として網羅することが望まれるが,人生の100 年を一貫して前向きに追跡するコホート研究は,多大な経費,手間と研究継続の困難性から,これまでは不可能に近いとされてきた.

しかし,ヨーロッパ諸国などにおいて,母子保健,学校保健,成人保健,医療,介護,死亡のデータベース間のデータリンケージにより,ライフコースアプローチによる研究が,得られるデータの制約はあるものの精力的に行われ,研究成果が政策に反映されつつある.

わが国においても,1960 年代以降の成人期のコホート研究からはじまり,1980 年代からの幼少期・思春期のコホート研究,高齢期のコホート研究,そして2000 年代以降の胎生期からの出生コホート研究と,各ライフステージでのコホート研究が開始され,現在でも継続している.本特集では,各論において,日本における主要なコホート研究の例として,

胎生期より: 子どもの健康と環境に関する調査(エコチル調査:JECS),21 世紀出生時コホート調査

成人期より: CIRCS 研究,大阪勤務者研究,吹田研究,JPHC・JPHC-NEXT 研究,JHOPE研究

高齢期より:東京都健康長寿医療センターの高齢者統合コホート研究,JAGES 研究を紹介する.

2017 年に,学術会議(臨床医学委員会・健康・生活科学委員会合同生活習慣病対策分科会)より,「働く世代の生活習慣病予防―健診・保健指導の今後の展開と若年期からの対策の重要性―」と題した提言が出され,そのなかで,ライフコースアプローチによる生活習慣病研究の基盤維持と継続支援が強調されている.

近い将来,医療ID の利用などによる研究環境の整備に伴い,これらのコホート研究のデータと,これまで活用してきた人口動態統計データなどの情報以外に,既存の保健医療福祉情報(例:国勢調査情報,レセプト情報,介護保険情報)とのデータリンケージがより広く可能となれば,ライフコースアプローチによる研究の飛躍的な発展が期待できる時期に来ている.282|


磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室)

目次

特集 ライフコースの観点からみたコホート研究とその成果

はじめに 磯 博康

ライフコースの視点からみるコホート研究 白井こころ・磯 博康

【出生からのコホート】

子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査) 新田裕史

【小児からのコホート】

世界および日本の子どものコホート研究 藤原武男

【成人勤務者のコホート】

大阪の勤務者における生活習慣病の変化 久保田康彦・木山昌彦

労働者の健康格差のメカニズム解明のための大規模多目的パネル調査(J-HOPE 研究) 堤 明純

【中年期住民のコホート】

The Circulatory Risk in Communities Study(CIRCS) 山岸良匡・磯 博康

多目的コホート研究から次世代多目的コホート研究へ 津金昌一郎・澤田典絵

吹田研究-ライフコースの観点からみた中年期住民のコホート 宮本恵宏

【高齢者住民のコホート】

JAGES(日本老年学的評価研究) 長嶺由衣子・近藤克則

東京都健康長寿医療センター研究所の高齢者コホート研究 北村明彦

連載

テレメディシン-遠隔医療の現状と課題(16)

ゲノム医療の展開と医療ビッグデータ時代の到来 田中 博

救急医学-現状と課題(7)

東日本大震災以降の新しい災害医療体制-平成28 年熊本地震でさらに何を学んだか 小井土雄一・他

TOPICS

加齢医学 オーラルフレイル 飯島勝矢

感染症内科学 抗菌薬過剰使用の対価 青木洋介

公衆衛生 周術期禁煙ガイドライン-手術を機会に禁煙してADL,長期予後を改善する 飯田宏樹

FORUM

生殖倫理の現況と展望(14) 生殖補助医療に対する法制度の在り方 西 希代子

1 月の雑誌特集

1 月の新刊紹介

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書籍情報

  • ISBN:9784006026404
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2018年1月
  • 電子版発売日:2023年8月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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