エビデンスでわかる トラウマ・PTSD診療

  • ページ数 : 180頁
  • 書籍発行日 : 2023年9月
  • 電子版発売日 : 2023年11月3日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

●その診療を裏付けるエビデンスがある!

近年、さまざまな種類の心的トラウマを抱える人々の数は増加しており、内科医、プライマリ・ケア医が外来で遭遇する機会も決して稀なケースではありません。しかしながら、トラウマやPTSDの診療について国内では学ぶ機会は少なく、現状では一般の精神科医でも十分な対応は困難です。
そこで、本書ではトラウマ診療のファーストタッチからケア・治療について、トラウマ診療の経験が少ない医療者にも広く活用できるよう、エビデンスベースでわかりやすく解説します。

序文

はじめに


本書は,心的外傷後ストレス症(post traumatic stress disorder;PTSD)や関連疾患の診療を専門としていない精神科医や,この領域の診断・治療に興味のある支援者の方に向けて書かれています。項目ごとに単独で読めるようにしていますので,パラパラ眺めて興味のあるところから読んでいただくのをお勧めします。

これまで,「PTSDといわれると診療に二の足を踏んでしまう」という声をよくお伺いしてきました。私自身,以前久留米大学医学部神経精神医学講座に在籍されていた前田正治先生(現 福島県立医科大学災害こころの医学講座)のご指導のもと2000年代にトラウマ臨床を始めた際,通常の精神科診療とは異なるものを感じ,戸惑っていました。当時はその戸惑いが一体何なのかをうまく言葉にできないまま,『心的トラウマの理解とケア(じほう,2001年)』を手引きとして見様見真似で取り組んでいました。

その後,トラウマ焦点化治療を学びながらも,通常の保険診療の枠内でいかにトラウマ臨床を行うか,ということに興味をもってきました。さらには,2009~2011年のスイス・チューリヒ大学病院精神科精神療法科(当時)のUlrich Schnyder教授(現 チューリヒ大学名誉教授)のもとでの臨床研究生活を契機に国際的な動向に触れる機会も増え,bio-psycho-social-spiritualな視点でPTSDや関連疾患を考える土台ができたように思います。

今回,本書を執筆する直接のきっかけとなったのは,2022年6月に福岡で開催された第118回日本精神神経学会学術総会でした。地元の九州開催でしたので,久留米大学で同僚とともに実践を重ねてきた心理教育について紹介しました。また,ICD-11におけるComplex PTSDの診断や治療について,さらにはトラウマ臨床を一般精神科で行うにはどうしたらよいかを考える機会をいただきました。会場で多くの出会いがあるなか,じほうの牛田充彦氏より本書執筆のお誘いをいただきました。

本書の構造(項目ごとの記載スタイル)はすでに牛田氏のなかで固まっており,私はその枠組みのなかでこれまでの臨床について振り返り,過去の戸惑いと自分なりの対処を言語化しながらまとめていったように思います。各項目にはエビデンスの紹介もありますが,どのエビデンスを取り出して紹介するかについては著者の私の意思が含まれています。ですから,本書は診療ガイドラインやエキスパートコンセンサスのようなものではなく,あくまでこの領域の基本を,筆者の立場・視点より論じている書籍だと考えていただければ幸いです。

本書を読んで,トラウマ臨床に少しでも興味をもっていただける人が増えることを願っています。


2023年9月

久留米大学医学部神経精神医学講座 大江美佐里

目次

第1章 総 論

1 心的外傷的出来事とは

2 PTSD発症に関連する因子

3 DSM-5でのPTSD診断

4 ICD-11でのPTSD・Complex PTSD診断

5 トラウマ体験に特徴的な症状(記念日反応,生き残り罪責感)

6 発達特性・アタッチメントとトラウマ

7 悲嘆・遷延性悲嘆症

8 適応反応症

9 解離症状

10 アディクション

11 患者の担当医となること:「中立的な判定者」ではなく支援者の一員として

第2章 一般外来での診断

1 患者の「信用」を得ること

2 鑑別診断・除外診断

3 質問紙・構造化面接の活用

4 診断書作成

第3章 患者対応・ケア

1 トラウマ患者の一般精神科外来での治療

2 心理教育

3 Posttraumatic Anger(トラウマ体験によって生じる怒り)

4 「トラウマインフォームド」を意識した対応

5 家族への説明のポイント

6 専門機関への紹介

7 中長期的支援(経過との関連を含めて)

8 次の一歩① 現在中心療法

9 次の一歩② 問題対処プラス

第4章 薬物療法

1 PTSD症状への薬物療法

2 併存するアルコール使用症への薬物療法

第5章 トラウマ焦点化心理療法の理解

1 トラウマ焦点化心理療法とは

2 持続エクスポージャー法

3 眼球運動による脱感作と再処理法

4 認知処理療法

5 TF-CBT

6 STAIRナラティブセラピー

第6章 領域別の診療のポイント:事例イメージをもとに

1 自然災害

2 犯罪被害

3 学校でのトラウマ体験

4 職場でのトラウマ体験(交通事故事例)

5 児童期の複数回・長期のトラウマ体験

6 紛争・戦災

第7章 支援者のセルフケアについて

1 支援者に生じる心身の負担

2 支援者のセルフケア

コラム

1.トラウマティック・ストレスはどうみなされてきたか

2.トラウマ・PTSD診療で役立つWebサイト

付 録

心的外傷ストレス症(PTSD)の診断基準(DSM-5-TR)

遷延性悲嘆症(PGD)の診断基準(DSM-5-TR)

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書籍情報

  • ISBN:9784840755290
  • ページ数:180頁
  • 書籍発行日:2023年9月
  • 電子版発売日:2023年11月3日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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