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- 長野県立こども病院 小児感染症と抗菌薬のトリセツ (第1版)
商品情報
内容
こどもの感染症は難しい。成人のエビデンスをそのまま利用できない。局所感染から一気に全身感染症にまで発展し、それが重症感染症であれば、一分一秒を争う。
重症感染症(かもしれない)患児に遭遇したとき、まず何をすればいいのか?小児感染症にビビらず、立ち向かうための答えが本書にある。
本書籍の新版「小児感染症のトリセツREMAKE」も配信されています。
序文
本書を手にとっていただき,ありがとうございます。表紙が派手で「トリセツ」とネーミングが独特なので,目立ちますよね。「トリセツ」,そう「取扱説明書」ですが,携帯,パソコンなど電化製品を買うとついてくるものです。私自身は,電化製品を購入したときには,それらをほとんど読みません。本来は取扱説明書を一ページずつきちんと読んでから,使用開始するべきなのでしょうが,「いらち」な私はまずは動かしてしまいます。電化製品の場合は,途中でぐちゃぐちゃになっても,「リセット」が許されます。しかし,臨床の現場は「リセット」は許されません。だから「トリセツ」が必要です。
小児医療の現場はマンパワー不足です。特に夜間はギリギリの人数で,ビギナー小児科医が当直医として,たった一人で全責任を背負って,こわごわ勤務しているのが実情です。しかも不幸なことに,こどもは何故か夜間に病状が悪化します。そんなとき,初めて診る病態や疾患にどう対処するか......。夜間に,患者を目の前にして,S. Long やFeigin & Cherry の成書を読んでられません。最短の時間で最適解を判断することが重要で,学問的に正しいかどうかよりも最優先になります。それが今回この「トリセツ」を編集した理由です。
夜間に重症感染症をマネージメントしなければならない若手医師や,医師のやり方に「?」と日々思っていらっしゃるナース,薬剤師,検査技師向けに,可能な限りややこしいことは省いて,実地に必要なポイントやコツなどを,最低限「漏れのなく」,「余計なことをしないで」,「専門医(上級医)につなぐまでの」短時間で把握できる内容にしました。物足りない方は,S. Long やFeigin & Cherryの成書を時間のあるときにお読みください。
本書は,編者・執筆者以外に,片瀬澄江さん,深尾有紀さん(NICU),大軒健彦先生,庄司康寛先生,田畑雄一先生のご助言,ご協力をいただき書き上げることができました。また日々の感染症診療にご理解とお支えいただいている当院スタッフの皆様に感謝いたします。
2012年 3月
笠井 正志
目次
小児感染症に立ち向かう心構え─10箇条
「トリセツ」使用上の注意
Chapter I 原則
01 感染症診療の大原則と新生児・小児・成人の違い
A 原則と付帯条件
B 成人と割と一緒なところ(=原則)
C 成人とは違う点(=付帯条件)
02 新生児感染症の診かた その1.新生児感染症のアウトライン
A 新生児感染症の特徴
B 新生児の感染防御機構
03 新生児感染症の診かた その2.新生児における抗菌薬治療
A 新生児と抗菌薬のエッセンス
B 新生児抗菌薬治療の原則=「疑ったらすぐに」
C 起因菌の想定
D 「早発型」感染症の治療薬の選択
E 治療期間の原則
04 抗菌薬のつくり方と投与ルート
A 投与法と投与経路の考えかた
B 抗菌薬の溶解・希釈
C IVかDIVか
05 抗菌薬を使うと決めるとき,使わないと決めるとき
A 抗菌薬を使わないと決断をするために
B 抗菌薬を使うと決断するために
06 抗菌薬を「投与する前」・「投与しているとき」・「変更するとき」に考えること
A 抗菌薬投与前の考えかた
B 抗菌薬投与中の考えかた
C 抗菌薬変更時─変えていいとき・悪いとき
07 小児感染症の検査の考えかた その1.バイオマーカーの捉えかた─発熱とCRP
A 院内発熱の捉えかた
B CRP値の捉えかた
08 小児感染症の検査の考えかた その2.塗抹検査・培養検査のキホン─血液培養を除く
A グラム染色を活用する
B 培養検査の適応・評価・解釈
09 小児感染症の検査の考えかた その3.こどもの血液培養
A 血液培養の考えかた
B 血液培養の適応
C 血液培養のメリット
D タイミング
E 採取量
F セット数
G 正しい血液培養の方法(手順)
H 培養結果の評価
10 Not doing well な発熱
A こどもの発熱の原因と評価
B 発熱児への初期対応
C 解熱方法
11 小児注射用抗菌薬のトリセツ
A アンピシリン
B ピペラシリン
C アンピシリン/スルバクタム
D タゾバクタム/ピペラシリン
E セファゾリン
F セフォタキシム,セフトリアキソン
G セフメタゾール
H セフタジジム
I セフェピム
J メロペネム
K アズトレオナム
L エリスロマイシン
M アジスロマイシン
N クリンダマイシン
O ゲンタマイシン
P アミカシン
Q バンコマイシン
R テイコプラニン
S リネゾリド
T クロラムフェニコール系抗菌薬
U ニューキノロン系抗菌薬(シプロフロキサシン)
V スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST 合剤)
W ミノサイクリン
X 今後使うかもしれない薬剤の使用上のポイント・小児投与量
12 小児注射用抗真菌薬のトリセツ
A 抗真菌薬の考えかた
B アムホテリシンB リポソーム
C フルコナゾール
D ボリコナゾール
E ミカファンギン
13 小児感染症のエキスパートになるために その1.細菌性髄膜炎をマスターする
A 細菌性髄膜炎を疑うポイント
B 各検査の行い方・所見の読み方
C 抗菌薬治療のポイント
D 特殊状況下の細菌性髄膜炎
E 代表的な起因菌別 抗菌薬の選び方と使い方
F ステロイドの考えかた
G 支持療法
H 経過の見方
I 曝露後予防(濃厚接触者)
J 予後
14 小児感染症のエキスパートになるために その2.セプシスをマスターする
A 定義:セプシス=感染症+SIRS
B 診断のポイント
C 抗菌薬以外の全身管理のポイント
D 抗菌薬治療
Chapter II 疾患
01 中枢神経感染症
A 脳膿瘍
02 上気道・頭頸部感染症
A 溶連菌咽頭炎
B 急性中耳炎・副鼻腔炎
C 扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍
03 下気道感染症
A 肺炎
B 膿胸
04 発熱性尿路感染症
05 血流・血管内感染症・縦隔洞炎
A 開心術後縦隔炎
B ペースメーカー感染
C カテーテル菌血症(CR-BSI)
D 感染性心内膜炎(IE)
06 消化管感染症
A 細菌性腸炎
B 偽膜性腸炎(Clostridium difficile 腸炎)
07 腹腔内感染症
A 特発性腹膜炎
B 二次性腹膜炎
C 腹膜透析(PD)関連腹膜炎
D 胆管炎/胆嚢炎
08 軟部組織感染症・骨関節感染症
A 軟部組織感染症
B 骨髄炎
C 関節炎
09 特殊領域の感染症
A PICU感染症のエンピリック治療
B NICUでのエンピリック治療
C 発熱性好中球減少症(FN)のエンピリック治療
Chapter III 対策
01 感染防止のキホン─小児科での標準予防策と感染経路別予防策
A 標準予防策の基本概念
B 標準予防策の実践
C 感染経路別予防策
02 院内アウトブレイク時の対応─長野県立こども病院の場合
A アウトブレイクとは何か
B アウトブレイク調査開始の基準
C アウトブレイクが疑われたときの初期対応
D 疫学的調査およびデータの収集と分析
E 終息の判断
F 重大な感染事例発生時の対応
03 病原微生物別 感染症のトリセツ その1.主要なウイルスの感染対策
A RSウイルス感染症
B インフルエンザ
C アデノウイルス感染症
D ノロウイルス,ロタウイルス(疑いを含む)
E 水痘・帯状疱疹
F 麻疹
G パルボウイルスB19 感染症
H 肝炎ウイルス(Hepatitis B virus;HBV,Hepatitis C virus;HCV)
I HIV(Human immunodeficiency virus)
04 病原微生物別 感染症のトリセツ その2.院内感染対策上で重要な細菌
A MRSA
B ESBL(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌
C MDRP(multiple-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa:多剤耐性緑膿菌)
D レジオネラ
E クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile;CD)
F 結核
Chapter IV Q & A
01 起因菌別に有効な抗菌薬を知りたい
02 肥満児の抗菌薬投与量はどうする?
03 感染症の予防投与は,どの抗菌薬をいつはじめて,いつ止めるか?
04 こどもに経口抗菌薬を飲んでもらう秘訣を知りたい
05 妊婦・授乳婦に抗菌薬を投与するときの注意点を知りたい
06 主要な感染症の曝露後二次感染予防法をまとめて見たい
07 全身麻酔(手術)実施予定患児の予防接種のタイミングについて知りたい
08 各感染症の潜伏期間と感染期間を知りたい
09 小児科病棟の清掃手順と注意点を詳しく知りたい
10 職員が感染症を発症した場合の出勤停止について知りたい
11 感染対策をまとめて見たい
12 投与量が分からない
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書籍情報
- ISBN:9784307170642
- ページ数:336頁
- 書籍発行日:2012年4月
- 電子版発売日:2013年9月27日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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