病理と臨床 2021年10月号(39巻10号)循環器Ⅰ-心筋疾患-

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2021年10月
  • 電子版発売日 : 2021年10月29日
3,190
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内容

特集:循環器Ⅰ-心筋疾患-
心筋症総説:概念,分類と心筋生検
拡張型心筋症
肥大型心筋症・拘束型心筋症 ほか

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序文

特集:循環器Ⅰ -心筋疾患-


全身に血液を循環させるポンプである心臓は,全ての病態で何らかの影響を受けると同時に,全ての臓器に影響を与え,その機能不全は生死の定義にもなりうる.したがって,心臓は,突然死症例はもとより,ほぼ全剖検症例で重要な検索対象臓器となる.しかし,心臓の組織は単調に見え,肥大,変性,線維化のほかに病態を記載する言葉を探すのに苦労することが多い.また,日本では,今野,榊原らが1962年に開発した心内膜心筋生検(心筋生検)鉗子を用いて,諸外国に比べ,カテーテル式心筋生検が積極的に行われきた.心筋生検は,多くの場合,臨床上の問題解決の手がかりにしたい循環器内科医が自ら顕微鏡を覗いて心筋疾患の概念を構築しようと試みてきたが,多くの診断病理医にとって,心臓は診断的意義の不明な興味のもてない対象であった.さらに,近年,循環器領域での超音波,CT,MRIなど画像診断技術の進歩は著しく,心筋生検組織診断はその侵襲性に比して得られる情報が少なく,不必要と考える臨床医も少なくない.しかしながら,最近,心臓移植,ステロイドや免疫抑制薬による心筋炎治療に加え,Fabry病に対する酵素補充療法,心アミロイドーシスの治療薬など新しい治療法が次々開発され,幾つかの心筋疾患の治療法の選択に心筋生検組織診断が必須とされる時代となった.

それに伴い,実際の心筋組織を用いた組織の微細構築の評価,分子動態,遺伝子発現,ゲノム変異の解析などにより他のモダリティと相補的な情報が得られることがあることが改めて注目されるようになった.また,実際に組織診断をしようとすると,バーチャルリアリティに基づいた疾患概念の枠に当てはまらない病態が存在し,ガイドラインの文言をどのように適用すればいいか迷うことも少なくない.

本特集では,循環器Ⅰとして心筋疾患を取り上げ,それぞれの疾患の病因,病理,病態に関する現在の考え方を整理した上で,新しく開発された治療薬の適応選択にも対応できる心筋生検の診断ポイントを解説する.

心臓に限らず,病理診断は,臨床のニーズに応える十分な情報を還元することが求められる.心血管領域では,最近のがん治療の進歩に伴い,担がん患者やその治療に伴って発生する循環器系の問題を解決しようとする腫瘍循環器病学が注目され,ほかにも拡張機能不全など新たな問題への取り組みが始まっている.これらに対応すべく,新たな診断toolや人工知能など新しいテクノロジー導入の試みなど,心血管領域での今後の診断・治療戦略に関する最新の話題も紹介したい.


特集編集:今中恭子
[三重大学大学院医学系研究科 修復再生病理学]

目次

【特集】

〈心筋疾患〉

心筋症総説:概念,分類と心筋生検/加藤誠也

拡張型心筋症/大郷恵子

肥大型心筋症・拘束型心筋症/雨宮妃他

心筋炎/宇都健太

心臓サルコイドーシス/廣江道昭

心アミロイドーシス/池田善彦他

心Fabry病-最新の診断から治療まで-/河合秀樹他

不整脈の病理-不整脈を生じやすくする心筋組織病変-/松山高明他

心臓移植/堂本裕加子他

〈心臓病理をめぐる新しい話題〉

腫瘍循環器学/田尻和子他

心筋細胞核の変化と心筋疾患/樋口理絵他

心室拡張異常と心臓組織所見/藤本直紀

AI診断と心臓病理/尾上健児

【連載】

〈マクロクイズ[150]〉

松岡健太郎

〈効果的な病理医リクルーティング[7]〉

学生の配属実習の有効な取り組みについて/北澤荘平

[新連載]〈鑑別の森〉

連載にあたって/亀山香織

〈鑑別の森[1]〉

甲状腺の腺腫様結節と濾胞癌

Answer 1:廣川満良

Answer 2:亀山香織

【今月の話題】

Clinically isolated aortitis/高橋 啓

混合型胃炎-自己免疫性胃炎+Helicobacter pylori胃炎(A+B型胃炎)-/九嶋亮治

【開催告知】第67回 日本病理学会 秋期特別総会

【Information】

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書籍情報

  • ISBN:9784011203910
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2021年10月
  • 電子版発売日:2021年10月29日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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