病理と臨床 2021年12月号(39巻12号)COVID-19

  • ページ数 : 112頁
  • 書籍発行日 : 2021年12月
  • 電子版発売日 : 2021年12月24日
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内容

特集テーマは「COVID-19」.パンデミック感染症としてのCOVID-19とSARS-CoV-2の特性/COVID-19と宿主免疫応答/COVID-19対策における病理学の役割/COVID-19の臨床と画像経過/COVID-19,SARS,インフルエンザの肺病理/COVID-19の肺病変/COVID-19肺炎の病理を理解するために/COVID-19の他臓器病変/新興ウイルス感染症例の剖検時の注意点と剖検可能な施設の確立 他を取り上げる.連載記事として,[マクロクイズ],[鑑別の森],[若手病理医のためのキャリアパス講座],[今月の話題] を掲載.

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序文

特集 COVID-19

特集編集
河端 美則 [埼玉県立循環器・呼吸器病センター 病理診断科]
谷野美智枝 [旭川医科大学病院 病理部・病理診断科]


新型コロナウイルス感染症coronavirus disese-2019(COVID-19)は医療にとどまらず,社会生活にも深刻な影響を及ぼしている.国内ではワクチン接種の進行と新たな治療薬により改善している.しかしながら様々な変異株の出現などにより本特集が出版される時点でまだ国際的な収束は得られていない.

本特集ではCOVID-19のウイルス学的,免疫学的,臨床的,ならびに病理学的な事実と,その事実をどのように理解・解釈するかを科学的に記載することを目的とした.特にsevere acute respiratory syndrome-related coronavirus 2(SARS-CoV-2)と生体との絡み合いを,それぞれの分野の専門家に,その視点で解説していただく.

同時にその教訓を記録として残し,また今後パンデミック感染症が出現した場合,病理の科学的知見を剖検や組織診を通してどのように確保し,また医学に貢献するかなども総合的に検討したい.

まずCOVID-19に対する企画者としての視点を記載したい.病理学的には,重篤な病変としてはびまん性肺胞傷害diffuse alveolar damage(DAD)がある.他の病変としては,軽度の滲出を伴う細胞性の間質性肺炎や,器質化肺炎類似の各種気腔内器質化がある.剖検では臨床的な病勢や病態を反映して滲出期(急性期),滲出期+器質化期(増殖期),器質化期(亜急性期~慢性期)の様々なDADの病理像がみられる.

ウイルスによる肺胞上皮への傷害の程度と,各種サイトカイン分泌などを含む免疫学的過程が,病理像を規定すると推測する.

剖検での報告では,DADの早期病変である硝子膜部に免疫染色やISH 法でウイルスのタンパクやRNAが確認され,早期死亡例ではRT-PCR 法で肺内に多数のウイルスが確認されている.また早期死亡例においても,一部の施設ではウイルスのsubgenomic RNA やタンパクの検出で増殖の場が詳細に解析されている.

どのような機序で細胞死が起こるかは別として,死細胞内の増殖した多数のウイルス断片が,硝子膜内に脱落すると企画者は理解している.器質化は傷害と滲出後の一種の自然治癒過程であり,ウイルスは直接的な役割を果たさず,この時期には肺病変内のウイルスは著減している.滲出物が吸収されれば当然器質化に乏しい.

さらに追加すべき点は肺を中心とした,微小血管のみでなく,大~小血管の血栓形成であり,ウイルスの関与を含めその機序の検討も重要である.

このような事実から,企画者はウイルスが一元的な役割を果たし,正常免疫を有している個体はtype1 IFN(interferon)を中心とした自然免疫の速やかな発動によりウイルス増殖を阻止し無症状か軽症で済み,そうでない個体がウイルス増殖を阻止できず,いわゆるサイトカインストームと呼ばれるdysregulation のため重症化や死亡に至るのでないかと推測している.ただこれは事実の一つの解釈であり,他の解釈もありうる.

感染者は現在減少しているが,本特集では感染症,免疫,病理学の専門家に執筆のご協力をいただいた.読者の皆さまにおかれましては,現在我々が直面しているCOVID-19 に関して理解が深まり,様々な観点から議論することによって終息への一助となることを祈念する.

目次

特集 COVID-19/特集編集:河端美則・谷野美智枝

パンデミック感染症としてのCOVID-19 とSARS-CoV-2 の特性/竹田 誠

COVID-19 と宿主免疫応答/松村隆之他

COVID-19 対策における病理学の役割/鈴木忠樹

COVID-19 の臨床と画像経過/小倉高志他

COVID-19,SARS,インフルエンザの肺病理/中島典子

COVID-19 の肺病変/木村聡子

RELATED TOPICS/COVID-19 肺炎の病理を理解するために/河端美則

COVID-19 の他臓器病変/岸野祐也他

新興ウイルス感染症例の剖検時の注意点と剖検可能な施設の確立/鄭 子文

速報解説! ここが変わった

●「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版」改訂ポイント/ 都築豊徳

連載

●マクロクイズ[152]/ 櫻井奈津子他

●鑑別の森[3] 乳腺のアポクリン腺症とアポクリン型のDCIS

Answer 1:市原 周

Answer 2:桂田由佳他

●若手病理医のためのキャリアパス講座:連載にあたって 新連載/椙村春彦

●若手病理医のためのキャリアパス講座[1] 海外での病理医キャリア(1):紆余曲折したキャリアパス/原田秀子

今月の話題

●パンの穴/ 蔦 幸治

●古くて新しい過敏性肺炎の診断/谷野美智枝


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総目次

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書籍情報

  • ISBN:9784011203912
  • ページ数:112頁
  • 書籍発行日:2021年12月
  • 電子版発売日:2021年12月24日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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