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- 医学のあゆみ264巻9号 ライソゾーム病のすべて
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内容
衞藤 義勝(脳神経疾患研究所先端医療研究センター.東京慈恵会医科大学名誉教授)
このたび,ライソゾーム病の特集が組まれ,著者が企画者として編集を依頼された.ライソゾーム病はご承知のように希少疾患であり,約20,000の遺伝子病のうちもっとも病因解析,治療が進歩している疾患である. 約30年前にアメリカNIHのBrady博士が胎盤からβ-グルコシダーゼの酵素を精製し,ゴーシェ(Gaucher)病で酵素補充療法を開発して以来,遺伝子工学手法でファブリー(Fabry)病,ムコ多糖症,ポンぺ(Pompe)病などの酵素製剤が開発されてきた.これまで治療が不可能といわれてきたライソゾーム病を含む遺伝疾患の治療法の開発がこの30年間で急速に進み,骨髄幹細胞移植,基質合成抑制療法,シャペロン治療などがあらたに開発されている,さらに最近では,異染性白質ジストロフィー症(MLD)をはじめ各種ムコ多糖症,脳白質副腎ジストロフィー症(ALD)など,遺伝子治療の成功例が多数報告されるようになった.(序文より一部抜粋)
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序文
はじめに
衞藤 義勝
脳神経疾患研究所先端医療研究センター,東京慈恵会医科大学名誉教授
このたび,ライソゾーム病の特集が組まれ,著者が企画者として編集を依頼された.ライソゾーム病はご承知のように希少疾患であり,約20,000の遺伝子病のうちもっとも病因解析,治療が進歩している疾患である.
約30年前にアメリカNIHのBrady博士が胎盤からβ-グルコシダーゼの酵素を精製し,ゴーシェ(Gaucher)病で酵素補充療法を開発して以来,遺伝子工学手法でファブリー(Fabry)病,ムコ多糖症,ポンぺ(Pompe)病などの酵素製剤が開発されてきた.これまで治療が不可能といわれてきたライソゾーム病を含む遺伝疾患の治療法の開発がこの30年間で急速に進み,骨髄幹細胞移植,基質合成抑制療法,シャペロン治療などがあらたに開発されている,さらに最近では,異染性白質ジストロフィー症(MLD)をはじめ各種ムコ多糖症,脳白質副腎ジストロフィー症(ALD)など,遺伝子治療の成功例が多数報告されるようになった.
このようなライソゾーム病の治療の進歩によって,その他の希少疾患の治療法開発にも拍車がかけられ,さまざまな疾患での治療法開発が進んでいる.また,マイクロRNAなどの核酸治療薬を含む新規治療薬も将来の新しい治療法として開発中である.
ライソゾーム病の患者の多くが中枢障害を合併することから,最近ではこれら中枢神経障害を合併する疾患への酵素・遺伝子髄注治療,静脈注射による脳血液関門通過型酵素・遺伝子治療法開発もたいへん注目されており,臨床治験も開始されている.
また,早期診断・治療のための患者診断法の開発,治療に伴う効果判定のバイオマーカーの測定,酵素補充療法に伴う抗体出現に対する治療,ハイリスクスクリーニング,新生児マススクリーニングなども今後の重要課題である.このような診断・治療の進歩に伴い,遺伝カウンセリングなどもあらたな領域となってきた.
ライソゾーム病の病態解析・診断・治療の広がりは毎年膨大な論文数として発表されており,本特集はまさに時宜を得た企画といえよう.現在わが国のこの分野の診療・研究の第一線で活躍されている先生方に詳細を解説していただき,ライソゾーム病の日常診療に役立てていただければ,企画者としては望外の喜びである.
目次
ライソゾーム病の基礎
ライソゾーム病の歴史……衞藤義勝
ライソゾームの構造と機能……酒井規夫
ライソゾームでの脂質,複合糖質,蛋白質代謝とその異常症……衞藤義勝
ライソゾーム病の臨床
ライソゾーム病の遺伝……櫻井謙
ライソゾーム病の基礎と臨床……井田博幸
ライソゾーム病の画像診断……石垣景子
ライソゾーム病の診断
ライソゾーム病の診断:生化学的診断,形態学的診断,遺伝子診断……小須賀基通
新生児スクリーニング・ハイリスクスクリーニング……百崎謙・中村公俊
ライソゾーム病の最新治療の現状と展望
治療の概説ならびに対症療法……高柳正樹
ライソゾーム病に対する造血幹細胞移植──ムコ多糖症に対する移植成績の現状と有効性の評価……小池隆志・矢部普正
酵素補充療法の現状と展望……奥山虎之
低分子治療薬──基質合成抑制療法, シャペロン療法……難波栄二・檜垣克美
ライソゾーム病の遺伝子治療……大橋十也
各論
ゴーシェ病……成田綾
ファブリー病……小林正久
ニーマンピック病(ASMDとNPC):病態,診断,治療の進歩……高橋勉
ガングリオシドーシス(ガングリオシド蓄積症)……渡邊順子
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症──Wolman病,CESD……村上潤・福嶋健志
白質ジストロフィーを呈するライソゾーム病──MLDとGLD……小林博司
ムコ多糖症──早期発見のために知っておきたいこと……濱崎考史
神経セロイドリポフスチン症(NCL)……衞藤薫
ポンペ病の新しい知見……福田冬季子
糖蛋白質代謝異常症……大友孝信
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書籍情報
- ISBN:9784006026409
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2018年3月
- 電子版発売日:2021年7月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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